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新型コロナによる早産/死産への影響は?-カナダの報告、約18年分の新生児記録を解析

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2021年08月17日 PM02:45

COVID-19パンデミックによる早産や死産の増加は認められない

(COVID-19)のパンデミックにより、早産や死産の発生率が変化しているという報告がある中、過去約18年にわたる250万件近くの妊娠転帰を検討した結果、有意な影響は現われていないと結論付けた論文が、「CMAJ」(カナダ医師会雑誌)に8月3日掲載された。


画像提供HealthDay

論文の筆頭著者であるマウント・サイナイ病院(カナダ)の小児科医、Prakesh Shah氏は、「COVID-19パンデミックの妊娠転帰への影響を検討したこれまでの研究は小規模なものが多く、・死産発生率の自然変動が考慮されていなかった」と、本研究の背景を述べている。例えば、オランダやアイルランド、米国などからは早産率の低下が報告されている一方で、その他の国からの報告は結果がまちまちであり、また英国やイタリア、インドなどからは死産率が増加したという報告があるという。

Shah氏らはこの研究に、オンタリオ州の2002年7月から2020年12月までの妊娠転帰が記録されている行政データベースを利用した。カナダの年間出生数は約35万人で、そのうち13~14万人がオンタリオ州で生まれており、解析に用いられたデータベースには、その約98%が記録されている。

同国での最初の新型コロナウイルス感染症例は2020年1月25日に同州で記録され、同年3月18日にカナダ全土で厳格な封鎖措置がとられた。そこで、2020年1~12月の1年間を「パンデミック期間」、それ以前の17.5年間はパンデミックの影響がない期間と見なし、早産と死産の発生率やその経時的変化を比較した。

解析対象期間18.5年の新生児記録から、妊娠21週未満の出生などを除外した上で、1万3,781件の死産を含む246万5,387件の記録を解析対象とした。平均在胎週数は38.7±2.0週、平均出生時体重は3,344±584gだった。

18.5年間での平均早産率は7.96%(範囲7.32~8.59)だった。それに対してパンデミック期間は7.87%であり、有意な変化は認められなかった。妊娠22~28週、29~32週、33~36週での早産に分けて検討しても、22~28週と29~32週は有意差がなかった。33~36週については、パンデミック前は早産率の経時的推移の傾きが0.01であるのに対して、パンデミック期間は-0.056であり、有意性は境界値だった(P=0.05)。

死産率については18.5年間の平均が0.56%(同0.48~0.70)で、パンデミック期間は0.53%であり、有意な変化は認められなかった。

居住地(都市と農村に二分)や地域間の所得格差(五分位による分類)で層別化したサブグループ解析を行っても、早産率、死産率に対するパンデミックの影響は認められなかった。

結論として、本研究ではCOVID-19パンデミックによる早産や死産の発生率への影響は見られなかった。ただしShah氏は、「パンデミックに伴う外出禁止などの措置は、一部の地域や特定の環境で暮らしている妊婦には有利な影響を及ぼす可能性があり、一方で別の地域や環境で暮らしている妊婦には不利な影響をもたらす可能性がある」と述べている。同氏によると、パンデミックの妊娠転帰への影響を詳細に検証するための国際的な研究が現在進行中とのことだ。

なお、感染症やそれに伴う炎症、ストレスなどは、早産や死産の一因となる可能性がある。ただ、実際に早産、死産となった時に、その原因を特定することは困難なことが少なくない。(HealthDay News 2021年8月3日)

▼外部リンク
Preterm birth and stillbirth rates during the COVID-19 pandemic: a population-based cohort study

HealthDay
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