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自閉症児は特徴的な腸内細菌叢のプロファイルを持つ可能性

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2021年08月12日 PM01:00

自閉症の小児は特異な腸内細菌叢を持つ

(ASD)の小児では、腸内細菌叢を構成する微生物の種類と量が、特異的かつ未発達である可能性が、新たな小規模研究で示唆された。この研究を実施した、香港中文大学(中国)のSiew Ng氏は、「この知見は、ASDの小児に対するより早期の治療につながる可能性がある」と話している。研究の詳細は、「Gut」に7月26日発表された。


画像提供HealthDay

ASDには、遺伝的要因だけでなく腸内細菌叢も関与している可能性が示唆されている。また、脳と腸は互いに密接に関連しあっており(これを、脳腸軸または脳腸相関という)、それが社会的行動にも大きな影響を及ぼしていることを示すエビデンスも報告されている。

Ng氏らは今回、ASDの小児では、ASDではない小児〔定型発達(TD)児〕と比べて、腸内細菌叢プロファイルが明確に異なっているとの仮説を立て、その構成や機能面での違いを明らかにすることを試みた。そのために、3〜6歳のASD児64人とTD児64人から糞便サンプルを採取してディープシーケンシングを行い、サンプル中に存在する細菌の種類や量、関連する機能について両群間で比較した。

その結果、糞便サンプル中の腸内細菌叢の構成と、暦年齢、ASD、およびBMIとの間に独立した強い関連が認められたが、食事との間に関連は認められなかった。また、腸内細菌叢の細菌の種類は、TD児よりもASD児の方が多岐にわたっていた。ASD児では、クロストリジウム属(Clostridium)、ディアリスター属(Dialister)、コプロバチルス属(Coprobacillus)が豊富な一方で、酪酸を産生することで知られるフィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)は有意に少ないという特徴が確認された。さらに、ASD児の腸内細菌叢は、TD児のそれに比べて個人間での異質性が高く、その異質性は、主に5種類の細菌種に由来することも判明した。こうした違いは、別のASD児8人とTD児10人から成る検証コホートでも確認された。

注目すべきことに、ASD児の腸内細菌叢では、TD児のそれに比べて、神経伝達物質の合成に関連する腸内細菌叢の機能性が著しく減弱していた。また、TD児での加齢に伴う腸内細菌の発達状況をモデル化した結果、年齢特異的な出現パターンを示す26種類の腸内細菌類が同定されたが、自閉症児の腸内細菌叢ではこれらの細菌種が少ない上に、年齢との間に関連も認められなかった。Ng氏らは、この結果は、ASD児における初期の腸内細菌叢の発達状態に異常があることを示唆していると考えている。

Ng氏らは、「今回の研究から、自閉症の小児は特徴的な腸内細菌叢のプロファイルを持つ可能性のあることが明らかになった。この特徴を利用すれば、自閉症患者に対する早期治療が可能になるかもしれない」と話す。また、「小児期の胃腸管内の微生物叢の発達は、成長と健康を知るための重要な手がかりとなるため、幼児期の腸内細菌叢の変化は、ASDの進行において重要な機能的役割を果たしている可能性がある。したがって、この点をもっと詳しく調査する必要がある」としている。

さらにNg氏らは、「糞便中の細菌マーカーと、加齢に伴う細菌の発達プロファイルに基づいた非侵襲的な方法で自閉症の予測ができるようになるかもしれない」と今後の展開に期待を示している。(HealthDay News 2021年7月27日)

▼外部リンク
Underdevelopment of the gut microbiota and bacteria species as non-invasive markers of prediction in children with autism spectrum disorder

HealthDay
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