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レチノール摂取が潰瘍性大腸炎の発症を予防する可能性-愛媛大ほか

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2021年08月04日 AM11:00

、抗酸化物質摂取と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を調査

愛媛大学は7月28日、レチノール摂取が潰瘍性大腸炎発症に予防的であることを示す研究成果を世界で初めて論文報告したことを発表した。この研究は、同大が主導する多施設共同研究「日本潰瘍性大腸炎研究」(責任著者:愛媛大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学講座 三宅吉博教授)によるもの。研究成果は、「Nutrition」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

日本潰瘍性大腸炎研究は、全国52医療機関が参加する多施設共同研究であり、症例対照研究という疫学手法を用いて研究を実施している。今回は、野菜、果物、抗酸化物質摂取と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を調査した結果を発表した。

酸化ストレスと潰瘍性大腸炎のいくつかの症状には、関連が指摘されている。これまで野菜、果物摂取が潰瘍性大腸炎に予防的であることが示されているが、抗酸化物質摂取と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を調べた疫学研究成果は、世界でも少ない状況だった。

野菜、果物、抗酸化物質の摂取が最も低いグループを基準とし、他グループの潰瘍性大腸炎リスクを比較

研究では、平成27~29年度、全国52医療機関に通院している潰瘍性大腸炎の患者に症例群として、同研究への参加を依頼。当初の症例群は、「80歳未満で潰瘍性大腸炎の診断から1年未満の患者」としたが、対象者数を増やす目的で、2016年6月より「潰瘍性大腸炎の診断後4年未満」に変更した。対照群については、基本的に愛媛大学医学部附属病院やその関連の医療機関で、潰瘍性大腸炎あるいはクローン病と診断されておらず、下痢や腹痛の症状のない外来あるいは入院患者に参加を依頼した。最終的に、症例群として384人、対照群として666人が研究に参加した。また、栄養データは「半定量食事摂取頻度調査票」を用いて取得した。

野菜、果物、抗酸化物質の摂取量が低い人から並べ、人数が均等になるよう4グループに分け(4分位)、統計解析を行った。野菜、果物、抗酸化物質の摂取が最も低いグループを基準とした場合の、他のグループにおける潰瘍性大腸炎のリスクを比較した。この際、性別、年齢、喫煙、アルコール摂取、虫垂炎既往、潰瘍性大腸炎の家族歴、body mass index(体格の指標)を統計学的に調整した。野菜は、緑黄色野菜とその他の野菜に分けた。抗酸化物質として、、ビタミンE、レチノール、αカロテン、βカロテン、クリプトキサンチンを評価した。

緑黄色野菜以外の野菜、ビタミンC、レチノール摂取と潰瘍性大腸炎リスク低下に関連性

その他の野菜の摂取が最も少ない群に比較すると、3番目に摂取の少ない群及び最も摂取の多い群では、潰瘍性大腸炎のリスクが低下していた。緑黄色野菜や果物摂取と潰瘍性大腸炎のリスクとの間に関連はみられなかった。ビタミンCの摂取が最も少ない群に比較すると、最も摂取の多い群では、潰瘍性大腸炎のリスクが55%低下していた。レチノールの摂取が最も少ない群に比較すると、最も摂取の多い群では、潰瘍性大腸炎のリスクが36%低下。ビタミンE、αカロテン、βカロテン、クリプトキサンチンの摂取は、潰瘍性大腸炎のリスクと関連がみられなかった。以上のことから、緑黄色野菜以外の野菜、ビタミンC、レチノール摂取と潰瘍性大腸炎リスクの低下に関連性があることが認められた。

今回の研究成果により、世界で初めてレチノール摂取が潰瘍性大腸炎の発症に予防的であることが示された。「その他の野菜とビタミンC摂取も潰瘍性大腸炎の発症に予防的であることが示唆されたが、それを確認するためには、今後のさらなる研究が必要だ」と、研究グループは述べている。

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