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ASDにおける「表情からの感情認識過程」、神経回路モデルで再現に成功-東北大ほか

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2021年07月29日 AM11:00

表情から感情を読み取る過程で、どのような変化が起きているのか?

東北大学は7月26日、ヒトの発達過程で表情から感情を認識するようになる過程と、自閉スペクトラム症におけるその変化を、コンピュータ上で脳を再現した神経回路モデルを用いて再現することに成功したと発表した。この研究は、同大病院精神科の高橋雄太助教と同大大学院医学系研究科の富田博秋教授、慶應義塾大学理工学部の村田真悟専任講師、国立精神・神経医療研究センターの山下祐一室長らのグループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports誌」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

ヒトは表情の画像を見ることで、「悲しみ」「怒り」などの異なる感情を認知することができると考えられている。しかし、ヒトの発達過程において、表情の視覚的な情報からどのように異なる感情を認知するのか、そのメカニズムはほとんど不明だった。

また、自閉スペクトラム症を持つ人では、他人の感情を認識しづらいことが中核的な症状の一つとされているが、表情からの感情を読み取る過程に、どのような変化が起きているのかについては、よくわかっていなかった。

ニューロンの活動を異常にすると、自閉スペクトラム症の類似症状が観察された

研究グループはまず、生体脳を模した再帰型神経回路モデルを用意し、予測符号化理論に基づき、表情動画の中で顔のパーツがどのように動いていくのかを予測する(予測誤差を最小化する)ような学習を行い、発達過程の再現を試みた。その結果、それぞれの表情動画がどの感情に対応するかの情報を与えていないにもかかわらず、神経回路モデルの高次ニューロン空間に感情のクラスタが自己組織化されることを確認した。また、学習では与えられていない未知の表情に対しても、予測誤差を最小化するアプローチで顔のパーツの動きを再現すること(汎化すること)に成功した。

一方、ニューロンの活動性の異常を人工的に引き起こし、その変化が学習発達・認知特性に与える影響を調べる実験を行ったところ、ニューロン群の活動の多様性を減弱させたモデルでは、汎化能力が低下し、高次ニューロンでの感情クラスタの形成が阻害され、未知の表情の感情の同定に失敗しやすいという自閉スペクトラム症の人と類似した症状が観察された。今回の神経回路モデルでも、これまでに行われている自閉スペクトラム症の人を対象とした研究と同様に、ノイズとなるような細部に対しても、過剰に正確さを想定してしまうような認知の特性が見られたという。

自閉スペクトラム症の「感情認識の変調」への理解が進むことに期待

今回の研究成果により、神経回路モデルを使用し、予測符号化理論で自閉スペクトラム症の表情からの感情認識を説明できることが解明された。自閉スペクトラム症の感情認識の変調に関する理解が一層進むことが期待される、と研究グループは述べている。

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