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身体活動が少ない児童は「四肢骨格筋量」が減少しやすいことが判明-名大ほか

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2021年06月15日 PM12:00

日本の学童期の児童を対象に、身体活動・四肢骨格筋量と身体機能の関連性を検討

名古屋大学は6月11日、小学校児童における「身体活動」と「四肢骨格筋量」との関係を調べた結果、身体活動が少ない児童は、四肢骨格筋量が減少しやすいことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科総合保健学専攻の杉浦英志教授、同専攻の伊藤忠客員研究者(愛知県三河青い鳥医療療育センター三次元動作解析室:動作解析専任研究員兼務)、愛知県三河青い鳥医療療育センター整形外科の則竹耕治センター長、小児科の越知信彦センター長補佐および伊藤祐史医長らの研究グループによるもの。研究成果は、「PLOS ONE」の電子版に掲載されている。


画像はリリースより

身体活動の多い生活スタイルは、筋肉と身体の健康を改善し、小児期や青年期の身体組成や身体機能に良い影響を与える。世界保健機構による国際的な推奨事項、2018年の米国のガイドラインおよび英国のチーフメディカルオフィサーは、小児期から青年期において、週5日以上、1日1時間以上の中高強度の身体活動を行う必要があることを示した。身体活動は、人口統計学的および社会的要因によって異なるが、2008年に推奨される身体活動を実施している13~15歳の青年の世界的な割合は19.7%だった。しかし、これらの研究では推奨レベルの身体活動と身体機能(筋力、バランス機能、歩容など)との関係については評価されておらず、身体活動は、骨格筋量と筋力を増加させるために重要だと報告されている。最近では、子どもが「」や「」を発症する可能性があることが研究で示されているが、身体活動が低い子どもは、人生の後半でサルコペニアのリスクとなる可能性がある。したがって、推奨レベルの身体活動を行っていない子どもの身体機能や骨格筋量の低下の兆候を確認することは、価値があると考えられる。

しかし、全ての研究が、子どもの骨格筋量、、身体活動の関連性を確認しているわけではなく、研究グループが知る限りでは、アジア圏内の学童期の子どもを対象にこれらの関連性を調査した研究はないという。そこで研究グループは今回、日本の学童期の児童を対象に、身体活動および四肢骨格筋量と身体機能の関連性を検討した。

身体活動が少ない児童の四肢骨格筋量が減少するリスクは、満たしている児童の2.34倍

研究では、2018年1月~2019年12月の期間に運動器健診に参加した6~12歳(9.5±1.9歳)の推奨された身体活動を満たすことができている児童153人(男児83人、女児70人)と、推奨された身体活動を満たすことができていない児童187人(男児82人、女児105人)の結果を分析した。

身体活動は、世界保健機構が作成した質問紙の日本語版を使用し、参加した児童に聴取を行い、推奨されている身体活動が実施されていない児童を判定した。その結果に基づいて、「身体機能評価(四肢骨格筋量、体脂肪率、歩容、歩行速度、握力、5回椅子から立ち座りテスト、Timed UP-and-Go test [TUG])、片脚立位、歩行効率」を比較した。その結果、推奨された身体活動を満たしていない児童は、「四肢骨格筋量」「歩容」「握力」「TUG」「片脚立位」において、両群の間に統計学的有意差があり、全ての項目で低い値を認めた。

次に、身体活動との関連を調査するために、年齢と性別で調整された二項ロジスティック回帰分析を実施。その結果、推奨された身体活動を満たしていない児童は、「四肢骨格筋量」「体脂肪率」「歩容」「TUG」「片脚立位」が、身体活動と関連していることが認められ、特に「四肢骨格筋量」との関連が高い(オッズ比:2.34倍)ことが明らかになった。これらの結果から、児童の四肢骨格筋量の発達には、推奨された身体活動の実行が重要であることが示された。

児童の身体活動と四肢骨格筋量評価を行う運動器健診は、身体機能低下の予防に有効

今回の研究で、運動器障害が発生しやすいリスクが高いことが明らかになった。従来の運動器調査項目に加えて、医療従事者による運動器健診による身体機能を総合的に評価することは、児童の身体機能を把握し、機能低下の予防につなげていく上で、重要な評価であることが判明した。また、身体活動の調査と四肢骨格筋量の評価は、児童のサルコペニアの評価に役立つことが考えられる。

「今後、活動量計を使用して実際の身体活動を調査し、身体活動を高めるために必要な介入を行うことで、四肢骨格筋量が増加するかを明らかにする研究へと発展することが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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