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糖尿病発症初期での運動は、miRNAの発現増加と心機能の改善をもたらす-オタゴ大ほか

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2020年09月25日 PM01:15

糖尿病性心不全の発症とマイクロRNAの関連は?

国立循環器病研究センターは9月24日、身体の心臓保護遺伝子調節機構を操作することにより、糖尿病性心疾患に起因する心不全を改善するための新たな可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、ニュージーランドのオタゴ大学医学部生理学科のSchwenke Daryl准教授、Katare Rajesh准教授、元博士課程の学生Lew Jason博士と国立循環器病研究センター研究所心臓生理機能部のピアソン・ジェームズ部長、統合生理研究室の土持裕胤室長との共同研究によるもの。研究成果は、「Circulation Research」のオンラインファースト版に掲載されている。


画像はリリースより

糖尿病は冠血管機能障害および冠血管リモデリングを誘発し、心筋灌流を次第に低下させ、心機能障害や心不全を引き起こすことが知られている。また、不規則な食生活や運動不足は、糖尿病性心疾患の進行を加速させる危険因子だ。したがって、糖尿病性心疾患の進行具合を把握することはとても重要である。

今回、研究グループは、近年バイオマーカーとして注目されているマイクロRNAに着目。マイクロRNAは遺伝子発現調節を介して細胞分化、細胞死、細胞増殖、代謝などさまざまな生命現象を制御する分子だが、糖尿病性心不全の発症とマイクロRNAの関連性はまだ解明が進んでいない。また、一般的に、スポーツや運動トレーニングは糖尿病を始めとする生活習慣病に対して心臓保護的であることが示されているが、その最適な強度や時間については結論が出ていない。従って今回の研究ではこれらを踏まえ、異なる糖尿病発症時期に対して異なる強度の運動介入を行い、糖尿病性心疾患の進行度合いを示すバイオマーカーとなる心臓由来マイクロRNAの同定とともに、その具体的な機能解明を目指した。

糖尿病初期マウスは運動でmiRNA発現増加と心臓機能改善、進行すると効果減弱

研究グループは、肥満糖尿病自然発症モデルマウスを用いて8週間の運動トレーニングを行った後、大型放射光施設SPring-8を利用し、最先端の放射光X線イメージング法で冠血管機能評価を行った。その後、病態発症の程度と血中および心臓のマイクロRNA発現の関連を調べた。

その結果、肥満糖尿病マウスに対する運動トレーニングによって、心臓保護的マイクロRNAの発現増加や局所放出の増加を観察した。重要なことは、糖尿病の発症初期段階での運動トレーニングはマイクロRNAの発現増加と心臓・冠血管機能の改善をもたらしたが、糖尿病が進行した状態で運動トレーニングを始めた場合には、その効果が減弱したことだ。今回用いた肥満糖尿病モデルマウスは遺伝的要因が極めて強いため、運動トレーニングを行っても糖尿病自体は改善されなかったが、糖尿病の改善とは独立して、心疾患の病態改善、心臓灌流、血管・心筋細胞の形態や心機能に対する運動の効果が初めて明らかとなった。

臨床現場では既に、糖尿病が進行すると運動を維持するのが難しいことが知られている。研究グループは、「これらの保護的マイクロRNAを冠血管や心筋障害の単なる診断指標として用いるだけでなく、進行性糖尿病に対する運動療法とマイクロRNAの投与を組み合わせることで、運動療法の効果を高める治療法の開発へとつなげたいと考えている」と、述べている。

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