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特定健診時の尿ナトカリ比測定、地域の高血圧対策に有効な可能性-ToMMoほか

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2020年09月07日 PM12:00

健診時に尿ナトカリ比測定、その場で結果通知、血圧改善に効果は?

(ToMMo)は9月3日、2017・2018年度の特定検診の参加者約1万3,000人について、尿中のナトリウム・カリウム比(以下、ナトカリ比)を収縮期血圧のデータと共に解析した結果、尿ナトカリ比値の低下は、体格や飲酒量の変化と独立して収縮期血圧の低下と関連すること、尿ナトカリ比測定が地域住民全体の血圧に好影響を与える可能性が示されたと発表した。これは、同機構、東北大学産学連携機構イノベーション戦略推進センター革新的イノベーション研究プロジェクト(以下、COI東北拠点)と、宮城県登米市との共同研究によるもの。研究成果は、「Hypertension Research」に掲載されている。


画像はリリースより

日本での高血圧者の推計者数は4300万人といわれており、世界では成人の3人に1人が高血圧と推測されている。高血圧の主な原因の一つとして、「食塩のとりすぎ」が挙げられる。一方、野菜や果物などに含まれるカリウムを多く摂取することで血圧が低下するという研究報告がある。日本高血圧学会のガイドラインにおいては、高血圧予防のために減塩(ナトリウム)と、野菜や果物(カリウム)の摂取増加を勧奨しており、近年ナトリウムとカリウムのバランスを表す指標としてナトカリ比が注目されている。ナトカリ比が高いほど食事中の食塩摂取量が多い、あるいはカリウムが不足している可能性がある。このナトカリ比は尿中に反映されるため、同機構とCOI東北拠点では、近年開発されたナトカリ計(HEU-001F;Omron Healthcare Co., Ltd.:尿ナトカリ比を簡便に測定可能)を用いた測定を実施し、地域の保健事業に活用する方策を検討している。

2017年度から同機構とCOI東北拠点は、宮城県登米市と連携して、特定健診時に尿ナトカリ比の測定をモデル的に導入した。特定健診会場で尿ナトカリ比を測定し、その場で健診受診者に測定結果と尿ナトカリ比に関する情報を提供している。研究では、2017・2018年度ともに特定健診時に尿ナトカリ比を測定し、その他の特定健診の情報が得られた1万2,877人を対象に、尿ナトカリ比の低下が収縮期血圧の低下と関連するか、また初年度と比べ2年目の特定健診時に測定した尿ナトカリ比や収縮期血圧がどのように変化したかを検討した。

2年目の収縮期血圧の平均値が統計学的に有意に低下

解析の結果、尿ナトカリ比の低下は、体格や飲酒量の変化と独立して収縮期血圧の変化と有意な関連を示したことがわかった。また、高血圧に影響を与える要因といわれている体格や飲酒量が2年間で変化しなかったにもかかわらず、初年度と比べて2年目で尿ナトカリ比や収縮期血圧値が統計学的に有意に低下したことが明らかとなった。具体的には、尿ナトカリ比および収縮期血圧の平均値は、2017年度が5.4±3.0、132.1±17.9mmHg、2018年度が4.9±2.2、130.9±17.4mmHgであった。さらに、他の生活習慣の要因を考慮してもなお、尿ナトカリ比高値は、高血圧有病率と関連していたこともわかった。

今回の研究では、尿ナトカリ比測定後の住民の食行動に関する詳細な情報(塩分摂取量等)までは得ることができなかったため、尿ナトカリ比や血圧が低下した原因を特定することはできていない。ただし、地域全体で尿ナトカリ比や血圧が低下したことから、特定健診会場で尿ナトカリ比を測定しその場で測定結果を返却したことが、住民の減塩や野菜摂取量の増加などの行動変容を促した可能性がある。

「これらの結果を受け、登米市ではその後の2019、2020年度も特定健診会場で尿ナトカリ比の測定を継続している。今後もさらなる解析を続け、地域の健康に貢献していきたい」と、研究グループは述べている。

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