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死にゆく人は、最期の瞬間まで周囲の声が聞こえている

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2020年09月07日 PM02:45

死の間際でも声は聞こえている?

死に瀕した人は、反応がないように見えても、耳は聞こえている可能性のあることが、ホスピス患者の脳波データを用いたカナダの研究で明らかにされた。論文の筆頭著者で、研究当時ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)に所属していたElizabeth Blundon氏は、「自然死の直前の数時間は、多くの人が反応のない状態となるが、この研究から、たとえ意識がなくても、脳は最後まで音に反応することが示された」と述べている。詳細は、「Scientific Reports」6月25日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

Blundon氏らは、カナダのバンクーバーにあるセントジョン病院で緩和ケアを受けていた患者を対象に、入院直後の意識があるときと、反応がなくなった死の間際の2度にわたって、音刺激に対する脳の電気的活動を評価する脳波検査(EEG)を行い、17人の健康な対照群(平均年齢21.3歳、女性10人)の検査結果と比較した。最終的な解析対象となった患者は28〜88歳の9人(平均年齢68.2歳、女性4人)で、このうち、意識のあるときに脳波を計測できたのは8人、反応のなくなったときに脳波を計測できたのは5人だった。

音刺激として用いられた聴覚パターンは、5つの同じ周波数の音(1,000Hzまたは500Hzの音の繰り返し)で構成される2種類と、4つの同じ周波数の音と最後の一音だけが異なる周波数の音(1,000Hzまたは500Hzの音の繰り返し)で構成される2種類の合計4種類。Blundon氏らは、これらの聴覚パターンの繰り返しから成る連続音を対象者に聞かせ、より長く出現する刺激の中からまれに出現する刺激を聞き分けて、トーン変化、あるいはパターン変化として認識した際に生じる脳波の変化を計測した。計測された脳波は、刺激に対する思考や認知の結果として生じる内因性の電位である事象関連電位(ERP)のうち、標準的な刺激の中に弁別可能な変化刺激が呈示された際に自動的に誘発されるMMN()、受動的注意を反映するとされるP3a、能動的注意を反映するとされるP3bの3種類であった。

その結果、全ての対照群および意識のある患者の多くで、トーン変化やパターン変化に対する、MMNあるいはP3a、またはその両方の反応が検出された。自発的な注意を反映するP3bに関しては、対照群では、トーン変化とパターン変化のいずれも大半で検出されたが、意識のある患者で反応が確認されたのは、前者に対して4人、後者に対して2人であった。一方、死の間際に脳波を計測できた5人の患者全てで、トーン変化に対して、MMNまたはP3aの反応が確認された。さらに、パターン変化に対しては、一人にP3aの弱い反応が、2人にP3bの非常に強い反応が検出された。研究チームは、「これらの結果は、たとえ死が目前に迫った意識のない状態であっても、人によっては、聴覚系が健康な若い人と同様に反応することを示すものだ。これは、人においては、聴覚が最後まで残る感覚の一つである可能性を示唆するものだ」と結論付けている。

この研究論文の共著者の一人で、元緩和ケア医のRomayne Gallagher氏は、「今回の研究は、ホスピスの看護師や医師が従来から気付いていたとおり、家族の呼び掛けが、死の間際の患者を安心させるということに信憑性を与えるものだ」と話す。そして、「私にとってこの研究結果は、人生の最後の数日および数時間に大きな意味を付け加えるものだ。直接でも、あるいは電話を通してでも、死にゆく人のそばにいることに意味があることを、明らかにしてくれたからだ。別れを告げ、愛を伝えられるということは、残される側の人にとって慰めとなる」と付け加えている。

今回の研究により、死の直前まで耳は聞こえているという見解を裏付ける脳活動のエビデンスは得られた。ただし、Blundon氏は、「患者が聞こえた音を認識しているかどうかとなると、話は別だ。脳は聴覚刺激に対して反応を示したが、患者がその声が誰のものであるかを認識したり、話し掛けられた内容を理解したりしているのかを知るすべはない」としている。それでも同氏は、「未解決の疑問はたくさん残っているが、今回認められた兆候は、死の間際の人に対して話し掛け続けるべきであるという考えを支持するものだ」と話している。(HealthDay News 2020年8月26日)

▼外部リンク
Electrophysiological evidence of preserved hearing at the end of life

HealthDay
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