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乳がん予防目的のマンモグラフィ検査、どの年代で受けるのが効果的?

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2020年08月27日 PM02:30

40歳からのマンモグラフィ検査は死亡率低減に有効

40~49歳の女性を対象にした乳がんスクリーニングの実施には、死亡率低減の効果があり、過剰診断の増加もわずかであることが、英国の新たな研究で明らかにされた。研究を実施した英ロンドン大学クイーン・メアリー校のStephen Duffy氏は、「50歳未満の女性のスクリーニングにより死亡率を低減できることが、長期的な追跡で裏付けられた」と述べている。詳細は、「The Lancet Oncology」8月12日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

世界の乳がんスクリーニングのガイドラインには大きなばらつきが見られる。例えば、米国予防医学専門委員会(USPSTF)は現在、平均的な乳がんリスクを有する女性に対して、50歳で最初のマンモグラフィ検査を受け、その後は、74歳まで2年ごとに検査を受けることを推奨しており、それより早い年齢での受診は、偽陽性や過剰診断による不要な出費や苦痛を増やすとしている。一方、米国がん協会(ACS)は、40~44歳の女性は任意で年1回のマンモグラフィ検査を受け、45〜54歳までは毎年、検査を受けるべきだとしている。

この研究は、1990~1997年に、39~41歳の女性16万921人を対象に実施された、UK Breast Screening Age Trialの追跡結果を報告したものである。この試験では、対象者を、毎年マンモグラフィを受ける群(介入群)と、50歳から受け始める群(対照群)に1対2の割合でランダムに割り付け、介入期間中に診断された乳がんによる死亡率が検討された。中央値で22.8年に及ぶ追跡期間中の死亡件数は1万439件で、このうち683件(7%)は介入期間中に診断された乳がんを原因とするものだった。

データを分析した結果、追跡開始から10年時の乳がんによる死亡件数は、介入群で83件、対照群で219件であり、対照群に比べて介入群で死亡率が25%低減することが明らかになった(相対リスク0.75、P=0.029)。ただし、10年を超えると、介入群と対照群の間で、乳がんによる死亡率に有意差は認められなくなった(相対リスク0.98、P=0.86)。

さらに、40〜49歳時のスクリーニングによりがんが過剰診断される件数は、悪く見積もっても中程度であり、また、40〜49歳時にスクリーニングを受けていようがいまいが、最終的には50歳時以降のスクリーニングで過剰診断される可能性があることから、研究チームは、早期のスクリーニングにより過剰診断例が増大するわけではないとの見解を示している。

Duffy氏は、「この試験でのスクリーニングのほとんどは90年代に実施された。その頃に比べると、現在は、設備の機能もスクリーニング精度も向上している。それゆえ、早期のスクリーニングによるベネフィットは、今回得られた結果よりも、さらに大きくなる可能性がある」と述べている。

今回の研究報告を受けて、米ノースウェル・ヘルスがん研究所で乳がん手術を指揮するAlice Police氏は、「同様の結果は過去の研究でも示唆されていたが、この研究は、規模の点で一線を画するものであり、乳がんと闘う最強の武器はマンモグラフィ検査であることを再認識させるものだ」と述べている。また、米レノックス・ヒル病院のKristin Byrne氏も、40歳からのマンモグラフィ検査が有益であるとの見解に同意し、「乳がんになる人の多く(75~85%)は、家族歴などの既知のリスク因子を有しておらず、米国では、女性の8人に1人が乳がんを発症することからも、40歳からのスクリーニング開始が重要である」との見方を示している。(HealthDay News 2020年8月12日)

▼外部リンク
Effect of mammographic screening from age 40 years on breast cancer mortality (UK Age trial): final results of a randomised, controlled trial

HealthDay
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