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糖尿病治療用の速効型インスリン製剤開発、動物実験では投与後10分でピークに

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2020年07月30日 PM03:00

既存製剤より4倍速い“超高速インスリン”の開発

現在使われている超速効型インスリンの4倍速く作用する可能性のある、新たなインスリン製剤の開発が進められている。「Science Translational Medicine」7月1日オンライン版に掲載された論文によると、この新規開発中のインスリン製剤は、投与後10分で作用がピークに到達するという。


画像提供HealthDay

インスリンのモノマー(単量体)、ダイマー(二量体)、ヘキサマー(六量体)のうち、モノマーインスリンが最も速く作用する。しかしモノマーインスリンは不安定で、バイアル内で凝集して短時間で活性がなくなるという問題があり、製剤化にはこの問題の回避が必要とされる。今回の論文の上席著者である、米スタンフォード大学材料工学科のEric Appel氏は、「インスリン分子の安定性の問題の解決に役立つ“魔法の粉”の開発を目指した」と語っている。

Appel氏らは、インスリンそのものではなく添加剤に焦点を当てた。添加剤のライブラリーにある約1,500の候補物質をスクリーニングし、モノマーインスリンをストレス条件下で25±1時間、安定させることができるポリマーを特定した。同じストレス条件で、現在市販されている超速効型インスリンをテストしたところ、安定性が保たれている時間は5±2時間だったという。

同氏らは、このポリマーを添加剤として用いたモノマーインスリンを、ブタに投与してその作用を検討した。その結果、注射後5分以内に活性が90%に到達し、約10分でピークに達した。一方、比較検討した市販の超速効型インスリンは、10分後に有意な活性を示し始め、ピーク到達に25分を要した。この違いはヒトに用いた場合には、作用ピークの到達時間を4分の1に短縮することにつながるという。

この研究結果についてAppel氏は、「動物実験で得られた良好な結果がそのままヒトにも当てはまるとは限らない」としながらも、「前例のない結果であり、多くの大手製薬企業が長年、主要な開発目標に掲げていたものの一つに当たる」と述べている。また、共著者の一人であるCaitlin Maikawa氏は、「ポリマーを添加することで製剤の安定性が、現在用いられている製剤の2倍以上に伸び、大きな一歩を踏み出せた」と語っている。

研究グループでは今後、ヒトでの臨床試験を行う予定で、現在、米食品医薬品局()の承認申請に必要な追加試験を進めている。(HealthDay News 2020年7月2日)

▼外部リンク
An ultrafast insulin formulation enabled by high-throughput screening of engineered polymeric excipients

HealthDay
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