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既存AFOに装着できる軽量リハビリ装具を開発、脳卒中患者の歩行を改善-東北大ほか

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2020年07月21日 AM11:45

片まひ患者に見られる歩行速度低下、蹴り出しに問題

東北大学は7月20日、既存のAnkle Foot Orthosis(以下、AFO)に簡易に装着可能なアタッチメント形式の蹴り出しアシストデバイスを開発し、脳卒中による片まひ患者でその有効性を確認したと発表した。これは同大大学医学系研究科の出江紳一教授、関口雄介非常勤講師、本田啓太非常勤講師、同大工学研究科の大脇大准教授、NECの野崎岳夫氏、福司謙一郎研究員らの医工学、産学連携研究グループによるもの。研究成果は、「Gait & Posture」電子版に掲載されている。

脳卒中は、脳組織に損傷を与える疾患であり、上下肢の運動まひが主症状として起こる。脳卒中による運動障害患者のうち、15〜30%の患者が恒久的な運動障害を呈するため、社会復帰のためにはリハビリが必要になる。特に、根源的な移動能力にかかわる歩行リハビリは、直接的に生活の質の向上につながるため、多くの患者の福音となり、社会的意義、波及効果は大きい。

脳卒中が主たる要因の運動障害患者(片まひ患者)に対する歩行リハビリにおける、一つの克服すべき課題は、歩行速度の低下である。この歩行速度低下の主要因として、足首の底屈機能の低下による立脚期後期における不十分な蹴り出しが指摘されている。しかし、現在まで広く使用されている歩行リハビリ用装具(短下肢装具、AFO)では、軽量かつ立脚期の不十分な蹴り出しを補助するものはない。


画像はリリースより

バネ-カム機構を採用した軽量デバイス、脳卒中患者で蹴り出しアシストを確認

今回開発されたのは、既存のAFO(Gait Solution;Pacific Supply Co.,Ltd.,Japan)に簡易に取り付け可能なアタッチメント形式の蹴り出しアシストデバイス。AFOが480gに対して、このデバイスは65gと超軽量だ。シンプルかつ軽量な機構で蹴り出しアシストを可能とするため、バネ-カム機構を採用した。足首での背屈方向への回転に伴ってカム形状が変化することでバネが変位し、弾性エネルギーが蓄積される仕組み。このエネルギー回生により、立脚期後期に足首関節での蹴り出し(底屈モーメント)アシストが発生するメカニズムだ。

このデバイスの効果を検証するため、脳卒中による片まひ患者11人に対して、東北大学病院リハビリテーション科において、3次元動作解析装置(モーションキャプチャシステム)および床反力計測装置を用いて、歩行中の運動学および動力学解析を行った。計測は、東北大学病院倫理委員会の承認のもと、被験者に十分な説明を与え同意を得た上で行った。

その結果、既存のAFOでは、立脚期後期において足首で生成される底屈最大パワーが減少した一方、開発したデバイスを取り付けることで、この減少が抑制。すなわち蹴り出しアシストが発生している事実が確認された。さらに、その副次的効果として、遊脚期中にまひ側の膝関節屈曲が増加することが確認された。

転倒回避のための「」の抑制にも

片まひ患者の歩行中の遊脚期における膝関節の不十分な屈曲はさまざまな問題につながると考えられている。第一に、膝関節の屈曲が不十分なことにより、遊脚期中につま先が十分に地面から離れることが難しくなり、つまずき、そして転倒の要因となる。また、この転倒を回避するための代償動作として「ぶん回し歩行」が、片まひ患者の歩行の特徴として現れる。ぶん回し歩行は、歩行エネルギー効率の悪さ、歩行の見た目の悪さなど、患者が歩行リハビリテーションを継続的に行う上での大きな精神的障壁となるという深刻な問題も抱えており、片まひ患者で歩行リハビリが困難になる一つの要因となっている。

「今回開発したデバイスは、蹴り出しアシストのみならず、膝関節屈曲の増加を副次的にもたらし、つまずきによる転倒予防、ぶん回し歩行の抑制という観点でも、新たなリハビリ効果が期待される」と、研究グループは述べている。

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