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子どもの知能や語彙の発達に、体内の「鉛」が影響を及ぼしている可能性-東北大

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2020年07月20日 AM11:15

より低濃度の鉛も子どもに影響と海外の報告、日本では?

東北大学は7月17日、日本人の12歳児の血液中の鉛、および、出生時の臍帯血中の鉛濃度は、12歳時点での知能検査や語彙検査の結果に影響を及ぼしていると発表した。これは同大大学院医学系研究科の仲井邦彦教授、龍田希准教授らのグループによるもの。研究成果は、「Environmental Research」(電子版)に掲載されている。


画像はリリースより

鉛は、さまざまな分野で利用されている金属。しかし、人体に対して有害な影響を及ぼすこともわかっており、特に、産業現場では高レベルの曝露で貧血や神経への影響などを引き起こすことが知られている。小児では、低い曝露レベルで知能の発達に影響を及ぼすことが米国の研究で明らかにされており、米国疾病予防管理センター(CDC)は、6歳未満の小児において血液中の鉛の濃度を5µG/DLアクションレベルと設定した。しかし、その後の海外の研究から、より低い濃度の鉛でも子どもに影響を及ぼすことが報告されている。そこで今回、貧血などの影響が見られない低レベルでの鉛の影響について、日本人の小児を対象に評価することとなった。

子どもの発達と成長への影響を考える場合、検査時の曝露のみでなく、過去の胎児期における曝露の影響も懸念される。先行研究では、妊娠中の母親の鉛曝露(臍帯血で測定)の影響についても調査されたが、一貫した結論は得られていない。研究では、出生コホート調査において、平成14年に調査を開始、妊娠中の女性から出産時に臍帯血を採取するとともに、その後、生まれた子どもたちが12歳になった時に血液検査、知能検査、語彙検査を実施した。

12歳男児で、血中の鉛濃度が高くなるほど知能指数が低下

その結果、子どもの血液中の鉛濃度の中央値は0.7µG/DL、臍帯血中の鉛濃度の中央値は0.8µG/DLであり、日本人の血中鉛濃度は海外と比較すると低いことがわかった。これらの鉛と、12歳児の知能指数と語彙検査の得点との関連性を調べたところ、男児において、血液中の鉛の濃度が高くなるほど、知能指数が低くなることが示された。同様に、語彙検査の得点についても、鉛の濃度が高くなるほど男児の得点が低くなった。臍帯血中の鉛濃度については、知能検査の得点には影響は見られなかったが、男児の語彙検査の得点が低くなることが示された。この影響は女児では観察されなかった。

影響の受けやすさに個人差、遺伝や環境などが影響している可能性

また、研究成果から、影響の受けやすさには個人差があり、鉛濃度に限らず、遺伝や育つ環境などの影響も寄与することがわかった。「発達環境医学分野では、家庭内環境における鉛の曝露源を探索することを目的とした調査を進めており、今後、鉛の曝露源を明らかにするとともに、曝露レベルの低減や曝露回避の方法を検討する予定だ」と、研究グループは述べている。

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