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50歳以上でBMI30以上、標準体重の人に比べて認知症発症リスクが約3割高い

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2020年07月06日 PM03:45

中年期の肥満が認知症発症リスクの上昇に関連

中年期に肥満であると、認知症の発症リスクが高くなる可能性のあることが、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のDorina Cadar氏らによる大規模研究で明らかにされた。Cadar氏は「公衆衛生的介入により、認知症を全てではないにしてもかなりの割合で予防できるようになるのではないかと期待している」と述べている。詳細は「International Journal of Epidemiology」6月23日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

Cadar氏らは、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)に参加した、研究開始時に50歳以上で認知症のなかった6,582人のデータを分析。研究開始時に測定したBMIにより対象者を、標準体重(18.5~24.9kg/m2)、(25~29.9kg/m2)、(30kg/m2以上)に分類した。また、女性では腹囲88cm超、男性では腹囲102cm超を中心性肥満と定義した。対象者の認知症の有無は、医師の診断、情報提供者からの報告、Hospital Episode Statistics(HES、入院・外来・救急の医療情報に関するデータベース)を情報源として確定された。研究開始時のBMIまたは腹部肥満と認知症発症リスクとの関連は、Cox比例ハザードモデルを用いて解析された。

最長で15年に及ぶ追跡期間(平均11年)中に、453人(6.9%)の参加者が認知症を発症した。解析の結果、研究開始時に肥満であった人は標準体重の人に比べて、年齢、性別、教育、配偶者の有無、喫煙、アポリポタンパクEの対立遺伝子ε4、、高血圧などの因子とは関係なく、認知症発症リスクが31%高いことが明らかになった。また、肥満と認知症発症リスクとの関連には男女差が認められた。それが顕著に現れたのは中心性肥満の女性で、腹囲が正常であった女性と比べて認知症リスクが39%高かった。しかし、BMIと腹囲を組み合わせて解析した場合には、男女とも同様に、肥満の人で認知症の発症リスクが28%高いことが示された。

この知見をレビューした米マウントサイナイ・アルツハイマー病研究センターのSam Gandy氏は、炎症、、2型糖尿病(いずれもアルツハイマー病のリスク因子)に関連するタンパク質が、肥満と認知症の関連に寄与している可能性があるとの見方を示している。

 一方、米アルツハイマー病協会(AA)の科学プログラムおよびアウトリーチのディレクターを務めるKeith Fargo氏は、慢性的な疾患と認知症の根底にある原因の関連はよく知られているとし、「アルツハイマー病の研究において、糖尿病、肥満、高血圧などの心臓の健康のリスク因子と、認知機能低下および認知症との関連は、十分に調べられている。今回の研究結果により、肥満と認知症発症リスクとの関連に関するエビデンスが一つ加わった」と説明する。また、同氏は「今回の研究で明らかにされた肥満と認知症発症リスクの関係における男女差は興味深いが、一つの研究結果だけに基づいて知見が有効であるかを判断することはできない」と述べている。

AAでは、健康的な生活への介入により高齢者の認知機能を保護できるかどうかを検討する、2年間にわたる臨床試験を実施中であるという。(HealthDay News 2020年6月25日)

▼外部リンク
Higher risk of dementia in English older individuals who are overweight or obese

HealthDay
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