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卵子が、受精する精子を「選り好み」している可能性

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2020年06月22日 PM03:15

卵子にも精子の「好み」がある?

パートナーに求める条件は人それぞれだが、女性の卵子も精子をえり好みしている可能性を示唆する研究結果が、(スウェーデン)のJohn Fitzpatrick氏らにより、「Proceedings of the Royal Society B」6月10日オンライン版に発表された。卵子は特定の男性の精子を強く引き付けようとすることが示されたという。Fitzpatrick氏らは「人間の生殖に関する新たな洞察が得られた」と話している。


画像提供HealthDay

Fitzpatrick氏らの説明によると、卵子まで到達する精子の数はおよそ250と推定されており、卵子の中に入って受精できる能力があるのは、そのうちの10%程度とみられている。同氏らは今回の研究で、不妊治療中のカップルから採取された精子と卵胞液を調べた。卵胞液は、卵胞の中を満たす水分であり、精子を引き寄せるための化学誘引物質を含んでいる。

その結果、どの女性から採取された卵胞液も、特定の男性の精子をより強く引き付けることが明らかになった。また、卵子が選ぶ精子は、必ずしも女性がパートナーとして選ぶ相手のものとは限らないことも分かった。

この結果についてFitzpatrick氏は、「受精の直前に、卵子と精子の間で化学的な“会話”が交わされている。卵子からの化学的シグナルに曝された精子は、泳ぎ方を変え、卵子に向かって真っすぐに泳ぐようになる。つまり、卵子は精子を導く化学物質を放出しているということだ。このことは生殖機能にも影響があると考えられる」との見方を示している。

ただし、今回の研究結果が実際の不妊治療にどう役立ち得るのかについては、Fitzpatrick氏も明確な答えを持っていない。同氏は「不妊症の約3分の1は、はっきりとした原因が分かっていない。これまで、化学的シグナルが卵子と精子の間の相互作用や不妊に与える影響について考慮されてこなかったが、今回の研究がきっかけとなって、今後、この点について検討されるようになるかもしれない」と話している。

米国男性生殖・泌尿器学会会長のNatan Bar-Chama氏は、今回の研究結果は少数のカップルから採取されたサンプルに基づくものであり、また、統計学的なデータが、実際の身体の働きに必ずしも当てはまるわけではないことを指摘。その上で、「研究結果から見えてくるのは、卵子が受精の直前まで最も良い精子を獲得しようとしていることであり、理に適っている」と話す。ただし、このような“最終的な選別”が妊娠に至る確率にどの程度の影響を与えているのかは不明だとしている。

この点に関してFitzpatrick氏は「卵子や精子が体外受精のプロトコルに従って慎重に扱われ、生存能力の高い胚となるよう最大限の工夫がなされる不妊治療では、卵子の化学的シグナルによる影響は小さいかもしれないが、自然受精ではより重要かもしれない」との見方を示している。

もちろんカップルは、自分たちの卵子と精子の相性について何の手掛かりもないまま付き合うわけであり、また、こうした卵子と精子の化学的力学が受胎の確率を左右することを主張する人もいない。それでもFitzpatrick氏は、「研究を重ねなければ確定的なことは言えないが、特定の卵子と精子の組み合わせの場合には、受精に至りやすくなる可能性はある」と話している。(HealthDay News 2020年6月10日)

▼外部リンク
Chemical signals from eggs facilitate cryptic female choice in humans

HealthDay
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