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がん重粒子線治療、D体メチオニンで副作用軽減のメカニズムを解明-名大ほか

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2020年04月17日 PM12:45

唾液低下の副作用軽減に有望なD体メチオニンの選択的な作用機序は?

名古屋大学は4月16日、重粒子線照射によって生じるDNA損傷に対する、D体メチオニンの保護効果を明らかにしたと発表した。これは同大大学院医学系研究科の余語克紀助教らの研究グループと、、北里大学との共同研究によるもの。研究成果は、「Radiation Research」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

重粒子線を用いた放射線治療は、頭頸部がんなどに集中して高い線量を投与できる優れたがん治療法。しかし、唾液が出にくくなるなど辛い副作用が生じることがあるため、治療時に唾液腺などを安全に守り、副作用を軽減する薬剤の開発が望まれている。

アミノ酸の一種である「D体メチオニン」は、生体内でよく利用されているL体メチオニンの光学異性体であり、マウスに経口投与すると放射線による唾液の低下や口腔粘膜炎の軽減に有効であることがこれまでにわかっている。放射線治療時に併用する安心安全な薬剤として、D体メチオニンが有望であるが、作用機序が不明であった。特に、生体内でよく使われるL体ではなく、D体のみが選択的に効果を発揮する作用機序の解明が、臨床応用に向け切望されている。

D体とL体による効果の違いは、唾液腺の組織レベルの選択的動態により生じている可能性

研究では、重粒子線照射によって生じたDNA損傷について、DNA電気泳動法を用いて調査。さらに、L体およびD体メチオニンによる保護効果の違いを調べた。その結果、DNA損傷に対して、L体およびD体メチオニンの保護効果に有意な違いがなく、またDNAの保護は、放射線によって生じるラジカルの消去作用によることがわかった。これにより、D体およびL体による効果の違いは、唾液腺の組織レベルの選択的動態により生じている可能性が示唆された。

この研究成果は、D体メチオニンの作用機序の解明に貢献し、辛い副作用を軽減する安全ながん放射線治療用薬剤の開発に寄与すると期待される。「また、身近で安全なアミノ酸のL体とD体の違いを、広くがん放射線治療の副作用の軽減に適用できる可能性を示すことができたため、さらなる応用が期待される」と、研究グループは述べている。

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