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歯科用人工骨再生材「OCP/Collagen」改良、素材単独で骨造成が現実に-東北大

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2020年04月14日 AM11:15

追加手術なしで埋入物の形状維持と新生骨形成を両立させるのが困難

東北大学は4月13日、歯科治療等で行われる骨造成のための生体材料「OCP/Collagen」の作製方法を改良し、生体材料のみで骨造成を可能にする新規技術を開発したと発表した。これは、同大大学院医工学研究科の骨再生医工学分野鎌倉慎治教授らのグループによるもの。研究成果は、国際科学誌「Journal of Biomedical Materials Research Part B: Applied Biomaterials」(電子版)に掲載されている。


画像はリリースより

歯が十分に機能を果たすためには、歯の周囲が健康な骨で囲まれていることが必須。抜歯などによって顎の骨が痩せてしまう骨欠損が起きると、「ものが噛めない」「見た目が悪い」「言葉がうまく伝わらない」などの不具合が生じる。これらの不具合が顕著な場合、障害を解決するために自家骨移植などによる骨再生が必要とされる。しかし、世界的にも生体材料単独では骨の表面に、より積極的に骨を盛り上げる技術(骨造成)は確立できていない。

骨造成には「埋入物の形状維持」と「新生骨形成」を両立させる必要がある。過去の研究から、生体内で吸収しない材料(非吸収材料)を併用して骨造成をある程度達成することは可能だが、治療後、非吸収材料を取り除く追加手術を必要とし、技術は限定的だ。一方、「生体材料単独による骨造成」では、「埋入物の形状維持」を優先させると「新生骨形成」が不十分となり、「新生骨形成」を優先させると「埋入物の形状維持」ができず、両者を同時に成立させることは困難で、課題となっていた。

既製品のOCP/Collagenを応用し、自家細胞の賦活化を利用して骨造成する改良型を開発

東北大学は2019年5月に日本ハム株式会社、東洋紡株式会社との産学連携によって、歯科・口腔外科領域の骨欠損に対して自家骨移植を回避できる生体材料OCP/Collagen(製品名:コラーゲン使用人工骨「ボナーク(R)」)を製品化した。この素材は、1)自分自身の骨形成細胞分化や血管新生を促し、優れた骨再生能と生体吸収性を示す 2)細胞や成長因子の補充なしで骨再生を実現する 3)できた骨は元の骨と同等な性質を示す 4)使用法が簡便で煩雑な操作や管理体制が不要で優れた費用対効果を持つ、といった特徴がある。

今回、研究グループは、すでに製品化されているOCP/Collagen作製時の予備凍結条件や密度を改良することによって、OCP/Collagen単独で骨造成を可能にする革新的骨造成技術を開発した。自分自身の細胞の賦活化を利用した改良型OCP/Collagenによる骨造成は、簡便な手法で追加手術が不要で、従来の方法よりも汎用性に優れているという。

本研究によって「生体材料単独による骨造成」の実現の可能性が示されたことで、痩せた顎骨や歯周病によって失われた骨の回復治療への応用が期待できる。「また、義歯の安定性向上や歯科用インプラント植立の下支え、歯周病の改善といった治療範囲の拡大、さらに、歯科治療のみならず、他の骨組織の骨造成への応用も期待できる」と、研究グループは述べている。

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