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死亡前1年間の医療/介護費の総額は、85歳以上で死亡した人が最も低い-都長寿研

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2020年03月25日 AM11:15

「死期が近い期間ほど医療費への影響があるか」を日本人対象に調査

東京都健康長寿医療センター研究所は3月18日、福島県相馬市の65歳以上の医療レセプト・介護レセプトデータを用いて、死亡前の医療介護費の総額を分析した結果、死亡前1年間にかかった総額は85歳以上で亡くなった人が最も低かったことが明らかになったと発表した。これは、同研究所の石崎達郎研究部長らの研究グループによるもの。研究成果は、英文専門誌「Geriatrics & Gerontology International」に掲載されている。


画像はリリースより

日本では人口の高齢化が医療費増加の原因であると伝えられることが多く、高齢者にかかる医療費問題が大きな政策議論となっている。しかし海外の研究では、死亡年齢が高くなるほど医療費が増加するというわけではなく、年齢よりも死期が近い期間ほど医療費への影響があると報告されている。そこで、研究グループは、死亡年齢の高齢化が実際に医療費増加にどう影響しているのかを調べ、生存者と比較して分析。高齢者は要介護状態になり、医療費とともに介護費もかかるリスクが高いため、医療費と介護費の総額を分析対象とした。

死亡前1年間の医療/介護費は65~74歳で395万円、85歳以上で238万円

福島県相馬市の65歳以上で死亡した高齢者(882人)を対象に、年齢階級別(65~74歳、75~84歳、85歳以上)と、要介護状態の程度別(要介護認定なし、要支援1~3、4~5)、さらに時期別(死亡前の1年間を3か月ごとの四半期に区分)に分けて、1人あたりの医療介護費を分析した。死亡前1年間にかかった1人あたりの医療介護費の総額(年額)平均は、年齢階級別に、65~74歳で395万円、75~84歳で273万円、85歳以上で238万円と、85歳以上が最も低かった。また、要介護状態では、要介護認定なしで244万円、要支援1~3で278万円、4~5で328万円であった。

次に、年齢、要介護状態の程度、死亡までの期間、それぞれが四半期ごとの医療介護費の総額にどう影響しているかを分析。統計解析の結果、年齢では85歳以上の人が65~74歳より44%安かったが、要支援1~要介護3の人は要介護認定のない人と比べて1.31倍高く、要介護4~5になると1.65倍高額になっていたことがわかった。また、死亡に近づくと高額となり、死亡直前の死亡前3か月~死亡当月は、死亡前12~10か月よりも1.83倍高額であった。

今回の研究で、日本でも、死亡前1年間の医療介護費は、年齢が高いかどうかではなく、死期に近づくにつれて増加していたことが明らかとなった。しかし、今回の研究は、死亡した人が死亡前に消費した医療資源を死亡時点から過去に遡って把握した分析であり、医療従事者であっても患者の死期を1年前の時点で正確に予測することは不可能だ。「この研究成果から、高齢者の終末期医療・介護サービスの利用を制限すれば、死亡前の医療介護費の増加が抑制できると解釈することはできない。死亡年齢の高齢化と医療費の増嵩を検討するためには、年齢だけでなく、要介護状態の程度や死亡への接近時期をも考慮して詳細に検討する必要があるが、その知見は限られていた」と、研究グループは述べている。

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