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長時間座ったまま仕事をすることが、がん罹患リスクに影響する可能性-国がん

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2020年03月13日 AM11:00

仕事中の座位時間が長い日本人を対象に約10年追跡調査

国立がん研究センターは3月10日、職業性座位時間とがん罹患との関連を調べた結果を発表した。これは、同センター社会と健康研究センター予防研究グループの多目的コホート研究によるもの。研究成果は、「Cancer Science」に掲載されている。


画像はリリースより

近年、日常生活の中で長時間座っていることが健康に与える影響について関心が高まっている。複数の研究をまとめたメタアナリシスにおいて、仕事の座位時間が長いと、普段適度に運動をしていても、がんのリスクが高くなることが報告されている。しかし、座位時間が長く、その中でも仕事中の座位時間が占める割合が多いと報告されている日本人において、仕事中の座位時間とがん罹患リスクについては調べられていなかった。

研究グループは、2000年と2003年に国内10保健所管内在住者で、がんや循環器疾患にかかっておらず、アンケートに回答した50~74歳の約3万3,000人について、2013年まで追跡調査を行った。その結果に基づいて、職業性座位時間とがん罹患との関連を調べた。なお、対象保健所は、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田(呼称は2020年現在)であった。

アンケート調査の結果を用いて、仕事中の座位時間を1時間未満、1~3時間未満(基準)、3~5時間未満、5~7時間未満、7時間以上の5つのグループに分け、その後、平均約10年間の全てのがん罹患との関連を男女別に調べた。また、胃、食道、大腸、結腸、直腸、肝臓、膵臓、肺、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、子宮体部における部位別の検討も行った。分析にあたって、年齢、地域、肥満度、喫煙、飲酒、余暇の身体活動、糖尿病の有無などを統計学的に調整し、これらの影響をできるだけ取り除いた。

男性で膵がん、女性は肺がんの高リスクに関連の可能性

その結果、男性では、統計学的に有意ではないものの、職業性座位時間が長いほど、がん全体の罹患リスクが高くなる傾向がみられた。部位別では、「」の罹患リスクが高いという関連が確認された。また、統計学的に有意ではないが、1時間未満を基準としたときに、職業性座位時間が長いほど男性の「」のリスクが高い傾向がみられた(傾向性p=0.06)。一方、女性では、職業性座位時間が長いほど、肺がんの罹患リスクが高いという関連が認められた。

今回の研究結果から、職業性座位時間が長いことは、男性の膵がん、女性の肺がんリスクが高いことと関連する可能性が示唆された。この理由として、身体活動の低下によるインスリン抵抗性の促進や慢性炎症などが、がん全体の共通したリスクと報告されており、特にインスリン抵抗性と関連のある膵がんでリスクが高かった可能性が考えられる。また、女性の肺がんについては、職場における肺がんのリスク要因と報告されている受動喫煙などの影響があった可能性も考えられる。また、日本人男性で結腸がんのリスクが高くなる可能性が示された。欧米の研究で、職業性座位時間が長いと、肥満を介して結腸がんのリスクになることが報告されており、今回の結果は、欧米の研究ほどはっきりとした関連はみられなかったが、関連がある可能性を示唆している。

研究グループは、「今回の研究では、職業性座位の継続時間や中断時間など、座位行動の詳細を把握できなかったこと、また、職業性座位時間が長い女性の人数が限られており、詳細な分析ができなかったことを考慮しなければならない」と、述べている。

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