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がんの免疫逃避、「可溶型CD155」分泌による新たな作用機構が判明-筑波大

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2020年02月17日 AM11:00

免疫チェックポイント阻害剤が効かない症例に対する新たな免疫逃避機構を探索

筑波大学は2月10日、がんの免疫逃避機構について、がん細胞が可溶型CD155タンパクを産⽣することにより、免疫細胞による殺傷効果を防いでいるということを発見したと発表した。これは、同大医学医療系/革新的創薬開発研究センターの渋谷和子准教授らによるもの。研究成果は、米国科学誌「Journal of Experimental Medicine」のオンライン速報版に掲載されている。


画像はリリースより

がん細胞が免疫システムからの排除を免れることを「」と呼ぶ。免疫逃避機構の1つとして、がん細胞が免疫細胞に抑制シグナルを⼊れることによって免疫逃避を行っていることがすでに明らかにされており、これを阻害する薬剤が、ノーベル賞受賞でも有名になった、免疫チェックポイント阻害剤である。しかし、免疫チェックポイント阻害剤が効かない症例も多くあり、全く別の免疫逃避機構の発見が期待されている。

正常細胞ががん化すると、がん細胞の表面に発現する「CD155タンパク質」(膜型CD155)が増加する。免疫細胞によるがんの排除には、この膜型CD155と、免疫細胞上に発現する活性化受容体「DNAM-1」の結合が重要であることが知られている。一方、CD155には膜型の他に、変異体の「可溶型CD155」がある。がん患者では健常人と比較し、血清中の可溶型CD155が多いことはわかっていたが、その機能は明らかではなかった。

がん患者の血中に多い「可溶型CD155」が、NK細胞上のDNAM-1に結合し、免疫逃避

研究グループは、可溶型CD155を産生するメラノーマ()腫瘍株と、産⽣しないメラノーマ腫瘍株をマウスに移入した。すると、可溶型CD155を産生するメラノーマ腫瘍株で、有意に多くの肺転移が起こることがわかった。また、腫瘍から産生された可溶型CD155は、がんを排除する免疫細胞であるNK細胞に結合していた。さらに、可溶型CD155による肺転移の促進は、DNAM-1遺伝子欠損マウスでは起こらないことや、試験管内の分析にて可溶型CD155がDNAM-1によるがん細胞の殺傷(細胞傷害活性)を阻害することなどから、可溶型CD155がNK細胞上のDNAM-1に結合することで、DNAM-1と膜型CD155の結合を阻害し、NK細胞ががんを排除できなくなっていることがわかった。

今回の研究により、がん細胞は可溶型CD155を分泌することにより免疫逃避していることが明らかになった。このことから、体内から可溶型CD155を除去すれば、体が本来持っている免疫システムによってがん細胞が排除されると考えられ、がんの新しい治療法の開発につながることが期待される。「既存の免疫チェックポイント阻害剤は、免疫細胞への抑制シグナルの阻害による治療法である一方、可溶型CD155の除去は、活性化シグナルを促進するものであり、作用機序が全く異なるものだ。免疫チェックポイント阻害剤の効果が薄い患者への治療にも役立つ可能性がある」と、研究グループは述べている。

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