米国で8人目の新型コロナウイルス感染者を確認
中国での新型コロナウイルス(2019-nCoV)流行による感染者数は、2月2日の時点で1万4,000人を超え、死者数は300人超となった。米国務省は1月31日、中国への渡航情報を最高レベルの「渡航禁止」に引き上げるとともに、「公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、過去14日以内に中国への渡航歴がある外国人の入国を受け入れない方針などを発表した。武漢では検査キットの不足が伝えられており、実際の感染者数はこれまで報告された数を上回っている可能性が高いことも指摘されている。

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米疾病対策センター(CDC)も1月27日、武漢だけでなく中国全土への不要不急の渡航を避けるようにとの勧告を発表している。CDCの1月31日付けの発表によると、米国では36州において新型コロナウイルス感染疑いで検査中の人が121人おり、6人が陽性、114人が陰性と確認されている。
一方、中国ではさらに緊迫した状況となっている。春節(旧正月)は最も人の移動が増える時期だが、中国当局は「マスギャザリングを減らし、新型肺炎の蔓延を阻止する」ため春節休暇を延長した。中国国家衛生健康委員会の馬暁偉(Ma Xiaowei)氏は、「ますます深刻で難しい段階に入りつつある。ある程度の期間は流行が続き、症例は増加する可能性が高い」と記者会見で述べている。同氏の説明によると、このウイルスの潜伏期間は一般的には10日間程度で、1~14日と幅がある。また、症状がなくてもウイルスを保有していれば他の人にうつす可能性があり、その点が2002~2003年に世界で800人以上の死者を出した同じコロナウイルスによる呼吸器感染症である重症急性呼吸器症候群(SARS)と異なるという。
中国保健当局は引き続き流行拡大の阻止に取り組んでおり、武漢周辺の都市を中心に厳しい移動制限措置を課すなど、これまでで最も厳しい対策措置を講じている。一方、香港は中国本土からの移動を大幅に制限し、個人旅行客の受け入れも全面的に停止することを発表。上海では、春節休暇を1週間延長して2月9日までとするとともに、スポーツ競技や宗教行事を中止するよう命じたと、AP通信は伝えている。
CDCの発表によると、米国では1月21日に初めての感染者がワシントン州で確認された。それに続き、24日にイリノイ州で1例、26日にはアリゾナ州とカリフォルニア州で計3例の感染が確認された。いずれの感染者にも武漢への渡航歴があった。さらに、30日にはイリノイ州でヒトからヒトへの初めての感染例も確認され、2月2日時点での感染は計8例となっている。CDCは、「状況は刻一刻と変化している。我々は、各国にいる現地チームとともに引き続き国際的な状況を注視し、国内でも監視を続けていく」と述べるとともに、「公衆衛生対応に積極的に取り組み、各州や地方の保健当局と密接に連携することで、疑わしい症例の早期発見と適切な治療に努める」と付け加えている。
▼外部リンク
・2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV) Situation Summary

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