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ミケランジェロの代表作から、500年越しに明らかになった事実

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2020年01月14日 PM02:00

ミケランジェロの医学知識を示すダビデ像の特徴とは?

ルネサンスの巨匠ミケランジェロの代表作であるダビデ像には、彼が解剖学的知識を持っていたことを示す「しるし」が刻まれているとする報告が米マリアン大学の医師Daniel Gelfman氏により発表された。たいていの彫刻作品はもちろん、生きている人間においても、通常は表面に現れない頸静脈が、ダビデ像では鎖骨の上部で明確に怒張しているのだという。この報告書は、「JAMA Cardiology」12月26日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

ダビデ像は『旧約聖書』を題材にした彫像で、後にイスラエルの王となる青年ダビデが、ペリシテ人との闘いのさなか、投石器ひとつで巨人ゴリアテに挑まんとする姿を表している。Gelfman氏によると、健康な若い男性が、命をかけて敵に立ち向かおうとして興奮していれば、実際に頸静脈が怒張する可能性は高いという。怒張は心内圧の上昇や心機能障害などがある場合にも起こりうるが、ダビデの年齢や彫像の背景にある物語などを考え合わせると、一時的な興奮により生じたものと見る方が自然な解釈であると同氏は考える。

Gelfman氏は「ミケランジェロや同時代の一部の芸術家らは解剖学を学んでいた。ミケランジェロは、健康な人が興奮すると頸静脈が怒張することに気付いていたに違いない」とし、「ダビデ像が公開されたのは1504年だが、解剖学者で医師でもあるウィリアム・ハーベーが循環器系の仕組みに関する説を唱えたのは1628年だ。医学の分野で解明されて記録される100年以上も前に、ミケランジェロがこの現象に気付いていたことに感銘を受けた」と述べている。

解剖学的な観点で細部にこだわったミケランジェロの作品はダビデ像だけではない。ローマ教皇ユリウス2世の依頼で制作したモーセ像でも頸静脈の怒張が表現されている。この像が、シナイ山で神から十戒を授かった後のモーセの様子を表していることを考えると、興奮により怒張が生じているとみなすことに異を唱える人は少ないだろうとGelfman氏は説明する。その一方で、十字架から降ろされたキリストの遺骸を抱く聖母マリアを表したピエタ像では、頸静脈が浮き上がって見えることはない。

「循環生理学の情報が限られていた時代に、ミケランジェロは頸静脈の変化に気付き、作品にそれを反映させていた。これには驚かされた」とGelfman氏は話す。なお、ミケランジェロが頸静脈の怒張を表現していたことを指摘した医学文献はこれが初めてだという。

今回のGelfman氏の報告書について、米スタテンアイランド大学病院の心臓電気生理学部門を統括するMarcin Kowalski氏は、「500年も前に作られた彫像に、今日の診断に使われることがある身体所見が表されていることに非常に驚いた」とし、「今後も、若い医師たちが身体所見の技術を身に着け、また、医学部がハイテク技術を用いた検査以前に身体所見の技術について教えていくことを願っている」と話している。

一方、米ノースウェル・ヘルス、ロングアイランド・ジューイッシュ・バリー・ストリームで心不全治療を統括するDavid Friedman氏は、「今回Gelfman氏が報告したダビデ像の“しるし”は、緻密な身体診察によって患者の健康状態を評価できることを医師に再認識させるものだ」と述べている。(HealthDay News 2019年12月26日)

▼外部リンク
The David Sign

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