医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > 尿中の大気汚染物質濃度が最大800%上昇!何が原因?

尿中の大気汚染物質濃度が最大800%上昇!何が原因?

読了時間:約 2分
このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年12月13日 PM03:00

海外旅行では滞在先の大気汚染に注意を

海外旅行の予定がある人は、新たに報告されたこの研究結果を知っておいた方が良いかもしれない。たとえ短期間でも大気汚染レベルの高い都市に滞在するだけで健康を損なう可能性があることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のJesus Araujo氏らによる研究から分かったという。詳細は、「Circulation」11月20日オンライン版に発表された。


画像提供HealthDay

長期にわたる大気汚染物質への曝露が心血管疾患リスクを上昇させることは以前から知られていた。しかし、大気汚染レベルが高い地域に短期間滞在するだけでも健康に影響があるのかどうかについては不明だった。

そこで、Araujo氏らは、2014年または2015年の夏に中国の首都、北京に10週間滞在したロサンゼルス在住の健康な成人26人を対象に、今回の研究を実施。北京への出発前、到着後(北京に滞在した年が2014年の群では到着から8週後、2015年の群では到着から6週後)、およびロサンゼルスへの帰国後の3度にわたり、対象者から血液および尿の検体を採取し、脂質酸化反応や炎症の程度、大気汚染物質の曝露量などについて調べた。対象者の平均年齢は23.8歳で、全員が非喫煙者だった。

その結果、いずれの群においても北京滞在中、酸化した脂質の増加と、それに起因する心血管の炎症レベルの上昇、心疾患に関連する酵素の機能の変化など、身体の健康状態に関連するバイオマーカーの悪化が認められた。また、対象者の尿中の大気汚染物質濃度は、ロサンゼルスにいたときと比べて北京滞在時には最大で800%上昇していた。ただし、対象者がロサンゼルスに戻ってから4~7週後には、悪化したバイオマーカーのほとんどが正常レベルに戻ったという。なお、研究期間中の大気中の微小粒子状物質()の濃度は、ロサンゼルスと比べて北京では平均で371%高かった。

研究論文の筆頭著者で米デューク大学グローバルヘルス研究所のYan Lin氏は、「大気汚染が健康に与える影響は、長期にわたり曝露した場合や、大気汚染レベルが高い地域を何度も訪れた場合、また持病のある人が曝露した場合の方が大きいと考えられる」と説明している。

毎年多くの観光客やビジネス客が訪れる北京は、大気汚染レベルが高い都市の1つでもある。Araujo氏らは、大気汚染が深刻な都市を訪問する際に、健康問題のリスクを低減させるためにできる対策として以下を挙げている。
・屋外でのランニングやハイキングといった激しい身体活動をしないようにする
・心疾患がある人は、滞在期間をできるだけ短くする
・長期滞在が避けられない場合は、できるだけ空気清浄機が整備された屋内で過ごすようにする

なお、Araujo氏らによると、世界で大気汚染が最も深刻な都市は、北京をはじめとする中国やインドのいくつかの都市であるが、ロンドンやパリでさえもWHOが定めた大気汚染に関する基準値を上回っているという。(HealthDay News 2019年12月3日)

▼外部リンク
Some Cities’ Smog Can Ruin Your Vacation

HealthDay
Copyright c 2019 HealthDay. All rights reserved.
※掲載記事の無断転用を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • 「ケトン体ダイエット」で、自己免疫疾患による炎症と関連する細胞Th17が減少?
  • 糖尿病の新型コロナ患者「高齢/CRP高値/インスリン使用」で予後不良か-中国報告
  • 新型コロナ小児患者の「川崎病類似疾患」平均年齢7.5歳、重症度高く-伊報告
  • 新型コロナに「ビタミンD」は有効か?米・仏で臨床試験も
  • 2人が体を寄せ合った状態でMRI検査、脳におとずれた変化とは?