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日本人集団の関節リウマチ患者における腸内細菌叢の特徴が判明-阪大

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2019年11月13日 AM11:45

微生物叢がもたらす関節リウマチの病因の全容は未解明

大阪大学は11月8日、関節リウマチ患者由来のメタゲノムにはPrevotella(プレボテラ)属に属する複数の種の増加や酸化還元反応に関連する遺伝子の減少など、特異的な変動が生じていることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科大学院の岸川敏博博士課程学生、同・岡田随象教授らの研究グループによるもの。研究成果は、英国科学誌「Annals of the Rheumatic Diseases」に掲載されている。


画像はリリースより

ヒトの体に生息する微生物は、免疫反応や代謝応答に大きな影響を及ぼしており、微生物叢の個人差が、2型糖尿病や心血管障害、、がんなど多くの疾患の病因に関与している。関節リウマチにおいても、プレボテラ・コプリによるTh17細胞を介した免疫応答の活性化など、免疫異常につながる微生物叢の働きが報告されている。また、関節リウマチはヒトゲノムの個人差を対象としたゲノムワイド関連解析により、多くの感受性ゲノム領域が発見された代表的な疾患のひとつでもある。しかし、宿主のヒトゲノムと微生物叢のメタゲノム間の相互作用など、微生物叢がもたらす関節リウマチの病因の全容はいまだ解明されていない。昨今、微生物叢の全ゲノムデータを対象とする「ショットガンシークエンス」という手法が推奨されるようになり、微生物叢の病原性の機序の一端が解明されつつある。

メタゲノム解析では菌種の組成だけでなく、メタゲノムが含む遺伝子やパスウェイなど、生物学的機能特性の詳細な分析を行うことができ、薬物療法や糞便移植療法、プロバイオティクスなどの新しい指標を提示できる可能性がある。一方、膨大なゲノムデータ量と複雑な情報解析工程があるため、普及は進んでいない。さらに、人種集団性と食習慣は微生物叢の組成に影響を与えることが知られているが、非欧米人集団の微生物叢研究は少ないというのが現状だ。

日本人に対し腸内微生物叢、ホストゲノム、関節リウマチの3者における関連を発見

研究グループは今回、日本人集団(関節リウマチ患者82名、健常者42名)の腸内微生物叢に対し、ショットガンシークエンスによる包括的なメタゲノムワイド関連解析を、独自に構築した情報解析パイプラインを用いて実施した。その結果、患者と健常者間の菌種組成の比較において、関節リウマチ由来のメタゲノムにはプレボテラ属に属する複数の種(デンティコーラ、マルシイ、ディシエンス、コーポリス、アムニー)が、健常群より有意に増加していることを発見。これらの菌種は関節リウマチの病原性に重要な役割を担う可能性が考えられる。また、非線形モデルによる機械学習手法を用いて、患者と健常者間で相違のあったこれらの菌種を効率的に判別できることを明らかにした。

患者と健常者間のメタゲノムに含まれる遺伝子量の比較においては、関節リウマチ由来のメタゲノムは、酸化還元反応に関連する遺伝子の1つ(R6FCZ7)が健常群と比較して有意に減少していることを同定。この結果から、腸内微生物叢の酸化ストレスに対する脆弱性が、関節リウマチの病因に関与している可能性が考えられるという。

パスウェイ解析においては、脂肪酸生合成やグリコサミノグリカン分解など代謝応答領域のものを中心に、さまざまなパスウェイが、患者と健常者間の比較で有意差を示した。多くのパスウェイは、関節リウマチの病原性との関連が示唆されているものであり、これらの関連に腸内微生物叢が影響している可能性があるという。また、この関節リウマチのメタゲノムによるパスウェイ結果に関して、関節リウマチのゲノムワイド関連解析より得たパスウェイ解析結果と比較したところ、メタゲノムとヒトゲノムの間で、アジア人特異的に疾患に関与するパスウェイが共有されていることを明らかにした。一方で、これまで多くの疾患で報告されてきた微生物叢における多様性の低下についても詳細な検討を行ったが、同研究では関節リウマチと健常群の間に多様性の有意な相違は認められなかったという。

今回の研究成果により、腸内微生物叢とホストゲノム、関節リウマチの3者間における関連が見出された。これらの知見は、関節リウマチの病因における微生物叢の役割に関して、より深い理解をもたらすと考えられ、さらなる疾患病態解明につながることが期待される。また、関節リウマチ患者に特徴的な腸内微生物叢由来のメタゲノム情報をバイオマーカーとして用いることで、関節リウマチの診断への貢献も期待される。

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