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冠攣縮性狭心症と微小血管抵抗指数上昇の合併、長期予後の悪化と関連-東北大

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2019年11月12日 AM11:00

長期予後悪化の機序としてRhoキナーゼの活性化が関与

東北大学は11月7日、冠攣縮性狭心症と微小血管抵抗指数の上昇の合併が長期予後の悪化と関連すること、冠攣縮性狭心症と微小血管抵抗指数上昇に共通した原因としてRhoキナーゼの活性化が関与していることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授、高橋潤講師、須田彬医師らの研究グループによるもの。研究成果は、米心臓学会の学会誌「Journal of the American College of Cardiology誌」にオンライン掲載された。


画像はリリースより

狭心症や心筋梗塞といった、心臓の冠動脈の血流が低下する虚血性心疾患は、致死性不整脈や心臓突然死を引き起こすだけでなく、胸痛症状や精神的ストレスにより患者の生活の質(QOL)を低下させる疾患だ。胸痛や心電図変化により狭心症が疑われ、冠動脈造影検査を受けた患者のうち、約4割は明らかな狭窄や閉塞などの異常が見られず、「非閉塞性冠動脈疾患」だと報告されている。

近年、非閉塞性冠動脈疾患における心筋への血流が異常となる原因として、とくに、冠動脈の機能異常が重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。冠動脈機能異常は心臓表面の冠攣縮と微小冠動脈の過収縮・拡張反応障害の二つに大別される。これまで、これらの二つの異常を同一患者で評価し、その合併頻度や長期予後への影響、両者の障害に共通した機序を調べた研究は無かった。

Rhoキナーゼ阻害薬などの新規治療戦略の開発に期待

今回、研究グループは、東北大学病院循環器内科において、狭心症が疑われ心臓カテーテルによる冠動脈造影検査が施行された患者のうち、太い心臓表面冠動脈に狭窄や閉塞が見られなかった患者を対象に、冠動脈の収縮と拡張の両方を検査して冠動脈機能異常を評価し、長期予後との関連を評価した。2014年11月~2017年7月までの間に合計187例が両方の検査を受け、うち128名(68%)が冠攣縮性狭心症、22名(12%)が微小冠動脈攣縮と診断された。

冠動脈拡張障害の評価としては、冠血流予備能の低下が見られた症例が66名(35%)、微小血管抵抗指数の上昇が見られた症例が70名(37%)であり、84名(45%)の症例では冠動脈機能異常のうち二つ以上を合併していた。また、冠攣縮性狭心症の有無と微小血管抵抗指数の高低から患者を4群に分けて長期治療経過を観察した結果、冠攣縮性狭心症と微小血管抵抗指数高値を合併した患者群は他の群と比較し、経過観察中の不安定狭心症発症や心臓死がより多く観察された(追跡期間中央値30か月)。さらに、血管収縮に重要な因子であるタンパク質()の選択的阻害薬ファスジルを冠動脈内に投与すると、冠攣縮性狭心症と微小血管抵抗指数高値を合併した患者群において、微小血管抵抗指数値が有意に改善された。この結果より、冠攣縮性狭心症と微小血管抵抗指数高値の共通の機序としてRhoキナーゼの活性化が関与していることが明らかになった。

今回の研究成果は、冠攣縮性狭心症と冠動脈拡張障害である微小血管抵抗指数高値の合併が長期予後の悪化と関連し、その共通した機序としてRhoキナーゼ活性化が重要であることを世界で初めて明らかにした報告。「冠動脈機能異常患者における長期治療経過が悪い患者の判別や、Rhoキナーゼ阻害薬をはじめとした新たな治療戦略の開発につながることが期待される」と、研究グループは述べている。

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