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「G4A Tokyo Dealmaker 2019」コラボレーション企業を発表-バイエル

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2019年10月31日 PM03:15

株式会社ハカルスなど6社とコラボレーションの合意へ


Signing Day会場の様子

バイエル薬品株式会社は10月28日、「G4A Tokyo Dealmaker 2019」Signing Dayを開催し、コラボレーション企業を発表した。G4Aは、革新的なデジタルヘルステクノロジーを有する企業とのコラボレーション機会を支援・提供する、バイエルのオープンイノベーションプログラム。日本では2016年に「G4A Tokyo」として開始した。これまで、同社は「ライフサイエンスに関するテーマ」として課題を提示し、革新的なソリューションを募集してきた。2019年プログラムは29社から提案があり、Signing Dayではコラボレーションの合意に至った以下の6企業と研究開発の概要が発表された。

・株式会社ハカルス(AIを用いたMRI画像診断支援ツール)
・株式会社スズケン(低重量保冷庫を用いた治療薬の温度管理および輸送方法の検討)
・株式会社Pros Cons(AIを用いた製剤設計プロセス効率化ツールの共同開発)
・株式会社CACクロア(Wordアドオンを活用した申請文書の自動作成支援ツールの共同開発)
・シミックヘルスケア株式会社(電子お薬手帳を活用した治療薬服薬支援およびモニタリング)
・株式会社ディビィ(データ活用・解析基盤を活用した製剤設計プロセスの効率化)

「スパースモデリング」によるMRI画像診断支援ツールの開発へ

Signing Dayでは、2019年コラボレーション企業のひとつである株式会社ハカルスの代表取締役CEO・藤原健真氏が講演した。同社は、「スパースモデリング」という特許申請中のAI技術を利用し、MRI画像解析とAIによる診断支援ツールの開発に取り組む。近年、AIを利用した画像解析では、ディープラーニングという技術が注目されている。今回用いるスパースモデリングは、「AI開発で必要とされる画像データが、ディープラーニングより少量で可能」(藤原氏)だという。ディープラーニングと比較して、解釈性が高いこともスパースモデリングの特徴だ。

また、ハカルスは、バイエル以外の製薬企業や医療機関とも共同で、スパースモデリングによるAI開発を進めている。具体例として「脳卒中向け診断・治療支援AI」「心電データ解析AI」「動物向け心電データ解析AI」「肺疾患向けAI」を紹介した。

患者に臨床試験情報を発信するアプリ開発、CRCの業務負担軽減にも期待

2018年のコラボレーション企業の実績紹介では、株式会社Buzzreachの代表取締役・猪川崇輝氏が講演した。同社はバイエルとともに、患者に臨床試験情報を発信する「スタディコンシェルジュ」アプリを開発。同アプリは、「治験参加意識を継続して持ってもらう」「服薬コンプライアンス向上する」ことなどを目的に開発された。また、治験コーディネーター(CRC)の業務負担を軽減し、今まで被験者管理に割いていた時間を他の業務へ移行することも開発目的のひとつだという。

同アプリは、「服薬管理機能」「来院カレンダー」「検査結果のデジタル管理」などの機能を搭載。「バーチャルCRC」という機能では、CRCに代わって患者サポートを行うことでCRCの負担を減らすだけでなく、患者のモチベーション向上が期待できる。猪川氏は、「今後も製薬企業や患者さんのためになるサービスを作っていきたい。それが我々の役目だと思う」と決意を新たに、講演を締めくくった。

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