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新技術搭載の義足で「自分の足のように」歩くことが可能になる?

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2019年09月19日 PM04:00

足裏で感じられる義足を開発

片足を失ったSavo Panic氏は、日常生活を取り戻すため義足をつけることにした。しかし、彼は失われた足の「」に苦しめられることになった。こうした中、欧州の研究グループが、下肢を切断した後でも失った足の自然な感覚を取り戻し、歩行しやすくなる新たな技術を搭載した義足を開発。Panic氏がこれを試したところ幻肢痛が消え失せ、別の患者でも痛みが大幅に軽減したことを明らかにした。研究の詳細は「Nature Medicine」9月9日号に発表された。


画像提供HealthDay

この技術は、義足と大腿部に残っている神経をつなぐセンサーを使用したもの。まず、義足の足裏と膝部分のセンサーを接続し、次に大腿部に残っている神経に小型の電極を埋め込んだ。さらに、義足のセンサーが感知した刺激のデータを大腿部の神経に伝えるアルゴリズムを開発し、刺激が脳に伝わるようにした。

この技術により、患者は自分の足があった時と同じように、かかった圧力や何かが触れた時の刺激を感じられ、義足でも自分の足のように歩き方を調整できるようになった。これまでの義足では、患者は、手足がどこにあるのか、どのように動いているのか、また地面はどのような形状なのかが分からず、全面的に義足に頼ることができなかった。しかし、この新しい義足を使えば足裏の感覚を取り戻して歩きやすくなるほか、歩く距離も伸ばせるようになるという。

チューリッヒ工科大学ロボット工学・知的システム研究所(スイス)教授のStanisa Raspopovic氏らは今回、膝より上で下肢を切断し、長年にわたり足を動かす感覚を失っていたPanic氏を含む2人の患者にこの技術を導入したところ、即座に切断前に近い感覚が再現されたことが分かった。

また、3カ月間にわたってさまざまな歩行検査を実施したところ、2人とも以前と比べて大幅に歩きやすくなったと報告。また、以前ほど踏み出すたびに注意を払う必要がなくなり、自信を持ってより速く歩けるようになったことも示された。さらに、これらの結果は脳の活動や酸素の消費量を測定した結果からも確認されたという。

Panic氏は、睡眠中も切断した足のつま先やかかとなどに痛みを覚え、目を覚ましてしまうこともあった。しかし、「新しい技術を用いた治療プログラムを開始し、電気刺激を受けてから幻肢痛は全く感じなくなった」と話す。なお、この技術を試したもう一人の患者では、幻肢痛は完全には消失しなかったものの、痛みは大幅に軽減したことをRaspopovic氏らは明らかにしている。

従来の義足では、歩く時に、患者は残っている足から得られる感覚に頼らざるを得ないため体力を消耗しやすい。しかし、「新たな技術でこの問題が解消されれば格段に歩きやすくなる」とRaspopovic氏らは説明。加えて幻肢痛の軽減も期待できるとしている。

今回の研究はまだ「概念実証」を目的としたものだが、Raspopovic氏らは「今後、数年をかけて完全埋め込み型のデバイスを開発し、より多くの患者を対象とした臨床試験を実施したい」と意欲を示している。(HealthDay News 2019年9月9日)

▼外部リンク
New Prosthetic Leg Can Feel Touch, Reduce ‘Phantom Limb’ Pain

HealthDay
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