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中高年層に多い足の血管の「コブ」、米国の患者数は4,000万人超え

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2019年09月18日 AM10:00

最も有効性が高い下肢静脈瘤の治療法は?

見た目の問題だけでなく、痛みを伴うこともある下肢静脈瘤に悩む患者の数は、米国で4000万人を超える。しかし、下肢静脈瘤の最善の治療法が何なのかは明確には分かっていない。そうした中、超音波ガイド下フォーム硬化療法よりもレーザーアブレーションや手術の方が優れた治療選択肢である可能性を示した臨床試験の結果が報告された。研究を率いた英グラスゴー大学血管外科教授のJulie Brittenden氏は、「レーザーの熱で静脈瘤を消失させる侵襲性の低い治療が最も有効性が高い」と話す。研究の詳細は、「New England Journal of Medicine」9月5日号に掲載された。


画像提供HealthDay

下肢静脈瘤に対しては、静脈瘤を起こしている血管の流れを遮断し、静脈瘤を消失させる治療が行われる。そうした治療法の一つであるレーザーアブレーションでは、レーザーの熱を利用して静脈瘤がみられる血管を遮断する。皮膚に小さな傷がつき、術後は下肢への圧迫療法が行われる。一方、手術には、血管をしばって血流の逆流を防ぐ高位結紮術や、静脈内に細いワイヤーを挿入して血管を引き抜くストリッピング術などがある。また、フォーム硬化療法では静脈に泡状の硬化剤を注入して血管を癒着させる。同療法は複数回の治療が必要となる場合が多いが、外来で可能である。

Brittenden氏らは798人の下肢静脈瘤患者をレーザーアブレーション、フォーム硬化療法、手術のいずれかにランダムに割り付けて臨床試験を実施。5年後に質問票を用いて生活の質(QOL)に関する調査を行った。有効回答を得られた595人を対象に解析した結果、フォーム硬化療法を受けた患者と比べてレーザーアブレーションまたは手術を受けた患者ではQOLが良好であることが判明した。また、レーザーアブレーションは、1QALY(Quality Adjusted Life Years、質調整生存年)あたりの最大支払い意思額の2万ポンド(約270万円)まで、77%の確率で費用対効果が高いことも明らかになった。

そのほか、試験では治療によってQOLに差が認められたが、これにはフォーム硬化療法を受けた患者と比べてレーザーアブレーションや手術を受けた患者では、静脈瘤の再発が少なかったことが影響したとみられている。

この結果を踏まえ、Brittenden氏は「QOLの面では、レーザーアブレーションと手術で同程度の成績が得られたが、費用対効果の面ではレーザーアブレーションが3種類の治療法の中で最も優れていた。QOLおよび費用対効果双方の観点から判断して、レーザーアブレーションは下肢静脈瘤のファーストラインの治療法として患者に勧められるべきだ」と述べている。

一方、この臨床試験には関与していない米メイヨー・クリニック血管外科元教授のPeter Gloviczki氏は、下肢静脈瘤では見た目の問題はあっても、痛みや潰瘍などの症状は全くみられないケースが多く、その場合、治療に保険が適用されない可能性があることを指摘。また、保険会社の中には、弾性ストッキングや市販薬を使用しても効果がないため治療を受けたか、認定された血管クリニックや血管外科医の治療を受けた場合にのみ保険を適用する会社もあるとした上で、「このように保険でカバーできる範囲に制限があるのは、美容上の目的だけで治療を受けている患者と、実際に症状に苦しんでいる患者を区別しようとする保険会社の狙いがあるからだ」と説明している。

 なお、Medicine Netによると、自費でレーザーアブレーションを受ける場合の治療費は1,500~3,000ドル(16~32万円)程度だという。(HealthDay News 2019年9月4日)

▼外部リンク
What Works Best Against Varicose Veins?

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