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膵臓がん以外の検査でも、膵臓異常があれば精密検査の推奨が早期発見に重要-愛媛大

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2019年09月09日 PM12:15

腫瘍が確認できない段階では、主膵管拡張の有無など間接所見が重要

愛媛大学は9月5日、膵臓がんの早期診断につながる研究成果を発表した。この研究は、同大学医学部附属病院地域医療支援センターの熊木天児准教授と第三内科(診療科長:日浅陽一教授)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Mayo Clinic Proceedings」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより

膵臓がんは、がんの中でも最も予後不良であることが知られている。一方で、腹部超音波検査や腹部CT検査で写る、直接所見である腫瘍(いわゆる「しこり」)ではなく、腫瘍が写る前の間接所見(膵管拡張や嚢胞性病変)が膵臓がんの早期診断につながることが報告されている。

慢性的な肝臓病を持つ患者では、肝臓がんを発症しやすいため、定期的に腹部画像検査を受けることがガイドラインで強く勧められている。したがって、そのような患者が膵臓がんを発症した場合、直接所見である「しこり」が写る前に偶然にも間接所見を指摘され、膵臓がんの早期診断につながっている可能性がある。

人間ドックなどで膵臓の異常の指摘があれば早期精密検査を推奨

研究グループは、過去に愛媛膵胆道疾患研究グループの施設で膵臓がんと診断された447人を対象に診断の契機を調査。その結果、慢性的な肝臓病を持ち(今回の研究ではB型およびC型肝炎ウイルスに限定)、定期的に腹部画像検査を受けていた患者16人は、腹痛など症状があるために病院を受診した患者431人より明らかに早い段階で膵臓がんと診断されていた。

今回の結果により、膵臓がんとは関係の薄い症状で受けた検査や人間ドックなどによって、偶然、膵臓に異常が見つかった場合は、たとえ症状が無くても専門医のもとで精密検査を受けることを推奨する必要があることがわかった。また、どんな腹部の画像検査においても、医療従事者は膵臓の間接所見、特に主膵管拡張の有無について注意深く観察し、その重要性を認識する必要がということも明らかとなった。これらの実施により、膵臓がんの早期診断につながることが期待される。しかしながら、定期的に画像検査を受けていても進行した段階で診断される患者がいるのも事実であり、膵臓がんの診断にはまだまだ多くの課題が残されている。

なお、今回の研究は、膵臓がん検診を勧めている研究ではなく、また慢性的な肝臓病を持つ患者が膵臓がんになりやすいとした研究でもないとしている。

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