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再発乳がん、DNAの立体構造を変換して細胞死を克服していることを明らかに―がん研ら

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2019年08月26日 AM11:30

再発した乳がん細胞、細胞死を起こしやすい脆さを併せ持つ

がん研究会は8月22日、再発乳がんのモデル細胞核において、非コードRNA分子「」の役割を調べ、FOXO3遺伝子とESR1遺伝子の、一見相反する現象を発見したと発表した。この研究は、同研究会がん研究所の斉藤典子氏らの研究グループが、熊本大学、九州大学、理化学研究所らとの共同で行ったもの。研究成果は「Nature Communications」に掲載されている。


画像はリリースより

乳がんは日本人女性の約11人に1人が発症するといわれ、女性のがん部位別罹患率が第1位、患者数は増加傾向にある。乳がんの約7割は、女性ホルモンのエストロゲンと結合して、がんの増殖に働くエストロゲン受容体(ER)を多く生産するER陽性型。そのため、エストロゲンの作用を抑える内分泌療法が効果的だが、治療抵抗性を獲得することで、治療効果がなくなり、再発することが問題となっている。

内分泌療法が効かなくなったER陽性乳がんを模した細胞では、非コードRNA分子であるエレノアが、細胞核内に留まった塊の構造体(エレノアクラウド)をつくり、そこで、ERをつくるESR1遺伝子を活性化し、細胞を増殖に導く。また、再発乳がんモデル細胞に、エストロゲンやその類似薬剤である「」(ポリフェノールの一種、エストロゲン様の働きをする)を投与すると、がん細胞が細胞死を引き起こす。つまり、再発過程で乳がん細胞は、増殖する能力を備えると同時に細胞死を起こしやすくなるという脆さも併せ持つようになることが考えられたが、詳細な仕組みは不明だった。

モデル細胞に対し核酸医薬は、レスベラトロールと同様の効果

研究グループは、治療が効かなくなったER陽性再発乳がんのモデル細胞(LTED細胞)を用いてエレノアを阻害。染色体コンフォメーション捕捉法を用いてゲノム立体構造を解析し、同時に遺伝子の使われ方を調べるRNA-Seq解析を行った。その結果、再発乳がん細胞において、細胞死に関わるFOXO3遺伝子が、あたかも死ぬ準備ができているかのように、盛んに使われていることが判明。一方、FOXO3遺伝子ゲノム領域は、増殖に関わるESR1遺伝子ゲノム領域がエレノアにとり囲まれる形で立体的に近接し、両者が一緒に活性化していることがわかった。そこで、エレノアを阻害するレスベラトロールを投与した細胞(LTED-RES細胞)を観察したところ、2つのゲノム領域の距離は不安定となることで離れ、ESR1遺伝子は使われなくなったにも関わらず、FOXO3遺伝子は使われたままとなり、結果、細胞死を引き起こした。同様に、エレノアを標的とした核酸医薬(DNAやRNAといった核酸を利用した治療薬、次世代の医薬品といわれている)の効果も調べたところ、同薬の投与は、レスベラトロール処理と同様の効果を認めた。エレノアが消失し、FOXO3遺伝子とESR1遺伝子のゲノム領域間が離開し、細胞は死に誘導された。

これらの結果から、再発乳がん細胞の中では、内部で進展する細胞死を克服して増殖し続けるために、細胞核内でエレノアがゲノムDNAの立体構造を操っていることが明らかになった。「レスベラトロールは、遺伝子の使われ方のバランスを崩してがん細胞を死の方向に導くため、再発乳がんの治療につながる可能性がある」と、研究グループは述べている。

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