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優しさを伝える介護技術「ユマニチュード」の習熟度をAIで評価する手法を開発-京大ら

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2019年07月16日 PM12:30

人対人の訓練を要し、多くの人に伝えることが困難な「

京都大学は7月11日、優しさを伝える介護技術として知られている「ユマニチュード」の技術をAIで評価する手法を開発したと発表した。この研究は、同大大学院情報学研究科の中澤篤志准教授、九州大学大学院システム情報科学研究院の倉爪亮教授、京都大学こころの未来研究センターの吉川左紀子特定教授、東京医療センターの本田美和子医師らによるもの。研究成果は、国際学術誌「Journal of Intelligent Robotics Systems」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

認知症患者が増えるにつれ、その介護問題、特に人材の不足や介護者の疲弊が社会問題となっている。この問題に対し、研究グループ中の東京医療センターの本田美和子医師を中心に、フランス発祥の優しさを伝える介護技術「ユマニチュード」が日本に導入され、病院や介護現場を中心に広がりつつある。一方で、この技術の習得は、人対人による訓練によってのみ行われるため、多くの人に確実に伝えることが困難だった。

これに対し研究グループは、画像認識やセンシングなどの技術を使い、AIを用いて解析することで、優しい介護技術の「技術のコツ」を見出し、自己学習システムなどを通して、技術レベルを自動的に評価・自己学習できるようにする手法の開発を目指してきた。

熟練者と初心者ではアイコンタクト成立頻度、顔間距離などに大きな差があることが明らかに

研究グループは、ユマニチュードの初心者/中級者/熟練者(インストラクター)の介護動作中の目線や頭部の動きを、頭部装着カメラ(ウェアラブルカメラ)で撮影。ここから、顔検出技術、アイコンタクト検出技術などを使って、介護者と被介護者の間のアイコンタクト成立頻度や頭部の姿勢/距離などを検出。その結果、初心者/中級者/熟練者の間で、アイコンタクトの成立頻度や顔間距離、顔正対方向の角度において大きな差があることを見出した。さらに、14名のユマニチュード初心者/中級者/熟練者から得られたデータを統計的データ分析処理(主成分分析)すると、初心者/中級者/熟練者の間に明確な境界を見出すことが出来た。これは、介護者の動作スキルの評価がAIによって行える可能性を示しているという。

今回の研究成果により、研究グループが取り組んでいる画像認識による顔検出やアイコンタクト検出技術を組み合わせることで、介護の基本であるコミュニケーションの要素「見ること」を定量化することが可能となった。この処理はサーバー上で自動的に処理されるため、人の主観による評価が入らず、また、大量のデータを処理することが可能なため、学習者はいつでもどこでも自分の介護スキルの振り返りを行うことができ、介護技術を向上させられる。

研究グループは現在、同システムを国内の大学に展開し、/看護系学生のセルフトレーニングに活用する実証実験を計画中。これにより、同システムの教育効果や使用者によるシステム評価を行うという。研究グループは、「本システムにより、認知症看護における「優しい介護」コミュニケーションスキルの一部を、多くの人に学んでいただくことが可能になると考えている」と、述べている。

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