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硫酸化多糖フコイダンとβ-グルカンによる協調的免疫力向上の機構を解明-九大

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2019年07月03日 PM12:30

オキナワモズクやメカブなどに含まれる「フコイダン」

九州大学は7月1日、海藻由来の硫酸化多糖類であるフコイダンがβ-グルカンと協調して免疫を活性化する作用機序を新たに明らかにしたと発表した。この研究は、同大学院農学研究院の宮﨑義之准教授の研究グループが、株式会社ヴェントゥーノならびに特定非営利活動法人NPOフコイダン研究所により設立された機能性多糖分析学寄附講座における産学連携研究の一環として行ったもの。研究成果は、国際科学雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより

研究グループではこれまでに、オキナワモズクやメカブなどの褐藻に含まれる硫酸化多糖類の一種であるフコイダンの生理作用を明らかにするため、細胞実験や動物実験およびヒト試験などさまざまな角度から研究に取り組んできた。中でも、「フコイダンの免疫増強作用」に関する研究から、フコイダンを摂取することで感染症予防やがん治療のサポート(治癒力の向上や医薬品の副作用緩和など)に寄与する可能性を見出している。

フコイダンは難消化性の食物繊維成分であるために体内への吸収量が少なく、生理作用を発揮する主な場は腸管免疫と考えられる。これまでの研究から、腸管内に存在するマクロファージや樹状細胞の活性化を促す作用が明らかにされつつあるが、その作用機構は不明な点が多く、また、他の多糖類との生理的相互作用については十分な検討が行われていなかった。

フコイダンとβ-グルカンが協調してマクロファージを活性化

今回の研究では、マウスマクロファージ様細胞株RAW264を用いて、多糖類の免疫促進効果の作用機構の解明を試みた。赤色蛍光物質を結合させたフコイダンを用いて免疫細胞との結合を顕微鏡で観察したところ、RAW264細胞の細胞膜表面に沿ってドット状に結合することがわかり、フコイダンは免疫細胞の細胞膜上に発現する受容体に作用することで、細胞の活性化を誘導する複合体を形成すると考えられた。

次に、免疫増強作用を持つことで知られる他の多糖類としてβ-グルカンに着目し、多糖類の組み合わせ効果を検討したところ、フコイダンとザイモザン(β-グルカンの一種)が協調的に作用してRAW264細胞の活性化をうながすことが新たに判明。さらに、フコイダンとザイモザンがRAW264細胞の活性化において協調効果を発揮するためには、「ラフト」と呼ばれる細胞膜構造が必要であり、細胞膜上に存在する受容体を介して生理機能を発揮することの裏付けがとれた。フコイダンの受容体については、 これまでに研究報告のあるTLRやSR-Aなどが考えられる。一方、ザイモザンは、デクチン-1と呼ばれる異物識別に関わる受容体タンパク質と相互作用することで、フコイダンのマクロファージ活性化作用をさらに増強することが判明した。

今後は、マウスを用いた摂食試験を実施し、腸管免疫において実際に働くマクロファージなどの免疫細胞を対象にして、フコイダンおよびβ-グルカンの生体内での作用機序を明らかにしていく予定。「それによって得られる成果から、感染症の予防やがん治療のサポートに寄与する機能性食品への応用展開が期待される」と、研究グループは述べている。

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