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日本の寒冷凝集素症(CAD)患者を対象にしたデータベース研究の結果を発表-サノフィ

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2019年06月19日 PM12:15

自己免疫性溶血性貧血の一種で非常にまれな疾患「

サノフィ株式会社は6月17日、日本の寒冷凝集素症()患者の血栓塞栓イベント(TE)リスクが対照群と比べて高いことを示したデータベース研究を公表した。

寒冷凝集素症(CAD)は自己免疫性溶血性貧血の一種である、非常にまれな疾患。北欧での有病率は住民100万人当たり16例。IgM自己抗体が赤血球と結合し、補体の古典的経路を活性化することで、溶血を引き起こす。現在、CADの適応症で承認された薬剤はない。

臨床試験および疫学試験は少ないが、欧州および北米のCAD患者のTEリスクが高いことが最近示された。また、TEの1年致死率は23%と報告されている。しかし、日本人をはじめとするアジア人が対象のCAD患者の臨床経過およびTEリスクを評価した試験はこれまで行われていなかった。そこで今回、日本のCAD患者の臨床像、治療パターンおよびTEリスクを明らかにすることを目的として、後ろ向きデータベース研究が行われた。

日本人患者においても、血栓塞栓イベントのリスクが高いことが判明

日本の約300か所の病院と2000万人の患者から成る病院ベースの診療データベース(Medical Data Vision)を用いて、2008~2017年まで後ろ向きに患者が特定された。CAD患者群の登録基準は、18歳以上、試験期間にCADの診断名(日本人の疾病分類コード 2830009)が3回以上入力された患者とされ、対照群はCAD歴がない患者とし、年齢、性別、診断された年と季節、追跡調査期間等によって、CAD患者群の患者と10:1でマッチされた。

特定されたCAD患者は344例で、女性が53.2%、平均年齢は66.8歳、平均追跡期間は18.9か月だった。CAD診断後12か月間における最も多い治療法はステロイド剤で(29.2%)、他の治療法は、(6.0%)、細胞傷害性化学療法(約6%)、(約5%)、および赤血球輸血(5.0%)だった。3,440例の対照群と、CAD患者群間でTEリスクを比較したところ、CAD患者群は対照群に比べて、TE発現率が高いことが判明(34.8% vs 17.9%、P<0.0001)。動脈系および静脈系TEの発現率も同様だった(25.0% vs 4.6%および8.4% vs 4.0%、いずれの解析もP<0.0001)。CAD患者群の動脈系TEで最も多い症例は、心筋梗塞(87.2%)で、CAD患者群と対照群の脳血管系TEに差はなかった(10.4% vs 11.9%)。CAD患者群と対照群のTE発現率のオッズ比(95%信頼区間)は2.81(2.18~3.61)。動脈系および静脈系TEのオッズ比は、それぞれ8.59(6.16~11.98)と2.37(1.56~3.62)だったとしている。

なお、今回の結果は、アムステルダムで行われた第24回欧州血液学会にて発表された。

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