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軽症喘息に吸入ステロイドは効果的?調べてわかった意外な結果

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2019年05月31日 PM04:00

軽症喘息に対する吸入ステロイド薬の効果は?

喘息の長期管理薬として、気道の炎症を抑える「吸入ステロイド薬」が汎用されている。しかし、喀痰中の好酸球レベルが低い軽症持続型の喘息患者の半数以上で、プラセボでも吸入ステロイド薬と同等以上の効果が得られたことが、米国立心肺血液研究所(NHLBI)が助成した二重盲検のクロスオーバー試験で示された。この研究結果は、米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、米ダラス)で発表され、論文は「New England Journal of Medicine」5月19日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

この研究は、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)教授のStephen Lazarus氏らが2014年6月~2018年3月に実施したもの。12歳以上の軽症持続型の喘息患者295人を対象に、吸入ステロイド薬のモメタゾン、気管支の収縮を抑えて気道を広げる長時間作用型抗コリン薬()のチオトロピウム、またはプラセボをそれぞれ12週間、ランダムな順番で投与し、実薬とプラセボの喘息コントロール効果を比較検討した。

対象患者を喀痰中の好酸球(白血球の一種)の比率で2つの群(2%未満の低値群または2%以上の高値群)に分けたところ、当初の予想(50%)を上回る73%(221人)の患者が低値群に分類された。

その結果、喀痰中好酸球低値群の59%(130人)では吸入ステロイド薬とプラセボの喘息コントロール効果に差がみられた。34%は吸入ステロイド薬の効果がより高く、25%はプラセボの効果がより高く、41%は両薬で効果に差はみられなかった。また、LAMAとプラセボの比較では、36%はLAMAの効果がより高く、24%はプラセボの効果がより高く、40%は差がみられなかった。

さらに、喀痰中好酸球低値群で実薬とプラセボの喘息コントロール効果に差がみられた患者では、吸入ステロイド薬の効果が高かった患者の割合と、プラセボの効果が高かった患者の割合に有意差はみられなかった(57%対43%、P=0.14)。LAMAとプラセボの比較においても同様の結果が得られた(60%対40%、P=0.029;本試験ではP<0.025を有意水準とした)。

一方、喀痰中好酸球高値群では、吸入ステロイド薬の効果が高かった患者の割合は、プラセボの効果が高かった患者の割合のほぼ3倍に上っていた(74%対26%)。しかし、LAMAとプラセボの比較では、これらの割合に差はみられなかった(57%対43%)。

これらの結果から、Lazarus氏は「喀痰中の好酸球レベルが低い軽症持続型の喘息患者のほとんどで、吸入ステロイド薬またはLAMAとプラセボの喘息コントロール効果には有意な差はみられなかった。また、これらの患者の67%では、プラセボの効果は吸入ステロイド薬と同等か、それ以上であることも分かった」と結論づけている。
その上で、Lazarus氏は「今回の研究の重要なメッセージは、多くの軽症持続型の喘息患者は吸入ステロイド薬が効きにくいタイプの炎症を持っているということだ」と指摘。吸入ステロイド薬が奏効しない場合には、単に服用量を増やすのではなく、この点を考慮して治療を見直す必要があると述べている。また、LAMAの効果についても、「プラセボに比べて明らかに優れると結論づけるだけの十分なエビデンスは得られなかった」とし、代替薬についてさらに研究を進めていく必要性が示唆されたとしている。

この研究には関与していない米レノックス・ヒル病院のLen Horovitz氏は、吸入ステロイド薬は喘息治療に数十年も使用されてきたと話す。「1990年代に登場したステロイドのエアロゾル製剤は、喘息治療に変革をもたらした。今回の研究で対象とされた喘息患者の半数以上において、吸入ステロイド薬にプラセボを上回る効果が認められなかったことは非常に興味深い」と同氏は述べている。しかし、外来で喀痰中の好酸球を正確に測定することは難しい可能性があるとも指摘している。(HealthDay News 2019年5月21日)

▼外部リンク
For Many With Mild Asthma, Popular Rx May Not Work: Study

HealthDay
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