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スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症に共通の新たな診断マーカーを同定−新潟大

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2019年05月27日 PM01:15

臨床症状からの早期診断が極めて困難な重症薬疹

新潟大学は5月22日、重症薬疹であるスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症における新たな診断マーカー()を同定したことを発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野の阿部理一郎教授、濱菜摘助教らと、北海道大学医学研究科皮膚科等との共同研究で行われたもの。研究成果は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology:In Practice誌」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

重症薬疹であるスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症は、発症初期は通常型薬疹(重篤な経過をたどらず治癒する薬疹)と皮膚症状が大変良く似ているため、早期診断を臨床症状から行うことは極めて困難と考えられてきた。

研究グループは2011年に、早期診断マーカーとしてgranulysinを同定し、迅速測定キットの作製に成功。しかし他の重症薬疹でも上昇してしまうことから、疾患特異性は低いものだった。そのため、特に致死率が約25%と高い中毒性表皮壊死症を早期に診断する手法が、緊急性の高い課題とされていた。

granulysinと組み合わせて、診断精度向上の可能性も

研究グループは、スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症の患者と、通常型薬疹の患者の血液に、原因薬剤を添加して培養した上澄みを質量分析し、重症型のみに含まれるタンパク質を同定。その後、定量プロテオミクス(Selected/Multiple Reaction Monitoring:SRM/MRM)を用いることで、スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症の患者の血液中のタンパク質の量を定量し、多いタンパク質から7個に絞りこんだ。その後、実際の患者の血液中にどの程度、候補タンパク質が存在するかを、ELISA法で直接測定したところ、CALML5とgalectin-7のみが重症薬疹の方のみに上昇していた。さらに、その2種類のタンパク質に対し、サンプル数を増やしてスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症患者24人分の血清と、通常型薬疹19人分の血清と健常者8人分の血清で検査したところ、galectin-7のみが、有意差をもって重症薬疹の方で上昇していた。

galectin-7は、他の水疱症やウイルス疾患での上昇はみられず、また病変部の水疱内用液での顕著な上昇がみられた。また、ステロイド治療後には血中濃度の低下を認め、重症度との関連も考えられることから、galectin-7がスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症の良いマーカーとなり得ることが判明した。

研究グループは、今後は、他の早期診断マーカーとして知られるgranulysinと組み合わせることで診断の精度をさらにあげられる可能性があるため、さらなる解析を続ける予定だという。また、galectin-7が、スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症の病態に関わっている可能性もあり、検討が必要だとしている。

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