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失明の恐れも。急増する「眼の帯状疱疹」とは?

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2019年05月21日 PM02:00

失明につながる「眼の帯状疱疹」が増加

幼少期にかかった水疱瘡(水ぼうそう)のウイルスは、体内に長年潜んでいた後、加齢などで免疫力が低下すると再び活性化し、帯状疱疹の発症につながる。帯状疱疹が眼にできると失明を引き起こす可能性があるが、米ミシガン大学ケロッグ眼センターのNakul Shekhawat氏らが行った研究から、米国では2004年以降、眼部の帯状疱疹の発症率が3倍に増加したことが分かった。この研究結果は、視覚と眼の研究会議(ARVO 2019、4月28日~5月2日、カナダ・バンクーバー)で発表された。


画像提供HealthDay

水疱瘡は治癒した後も、・帯状疱疹ウイルス(VZV)が脊髄神経節に潜伏した状態が続く。免疫力が低下するとVZVは再び活動し始め、神経節から皮膚へと移動して帯状疱疹を引き起こす。Shekhawat氏によれば、帯状疱疹患者の約20%では眼の周囲の神経が傷害され、強い痛みを引き起こすほか、発疹や腫れ、炎症、結膜炎を伴う場合もある。また、角膜に傷や水疱ができると、最悪の場合には失明に至ることもあるという。

Shekhawat氏らは今回、同じ医療計画プランに登録された2100万人の成人患者の診療録を12年間にわたり追跡し、分析した。その結果、眼部の帯状疱疹の発症率は、2004年から2016年にかけて10万人当たり9.4症例から30.1症例へと約3倍に増加したことが分かった。そのリスクは特に高齢者で高く、75歳を超える高齢者の発症率は10万人当たり53症例に上っていた。また、白人や女性においてもリスクは高かった。

帯状疱疹は若くても発症することがあるが、Shekhawat氏によれば、一般には高齢者の感染症と考えられるという。1,000人当たりの帯状疱疹の発症率は、若年者の4症例に対し、60歳以上では10症例とされている。

Shekhawat氏は、眼部の帯状疱疹が増加した原因の一つとして人口の高齢化を挙げているが、「その他にも原因があるはずだ」と指摘する。一方、帯状疱疹のワクチン接種が普及すれば、このような帯状疱疹の増加は食い止められる可能性が高いとし、「公衆衛生と疾患予防の観点から、私たちにはもっとできることがある」と話している。

なお、従来の帯状疱疹予防ワクチン(Zostavax、商品名)の予防効果は50%程度であるが、2017年に米食品医薬品局()により承認された「シングリックス(商品名)」は、50歳以上の健康な人で97%の予防効果が示されている。また、米疾病対策センター(CDC)によれば、シングリックスは帯状疱疹にかかったことがある人でも再発を予防できるという。

米国眼科学会()の臨床スポークスパーソンを務めるThomas Steinemann氏は「帯状疱疹を発症した後では、ワクチンを接種しても治癒や症状の軽減は得られない」と指摘し、そうした事態を防ぐためにも、予防策としてワクチン接種を考慮すべきだとしている。また、帯状疱疹の治療法は、点眼薬や湿布などを用いるほか、重症例では外科手術を行うケースもあるという。

なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2019年5月9日)

▼外部リンク
Potentially Blinding Shingles of the Eye on the Rise

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