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30~40代で絶望感がピークに。なぜ、人は死にたくなるのか?

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2019年05月09日 PM01:15

「ジェネレーションX」世代で絶望感が広がる

米国では、中年期に突入した「ジェネレーションX」世代の間で絶望感が広がりつつあることが、米ヴァンダービルト大学医学・健康・社会センターのLauren Gaydosh氏らの調査から明らかになった。30歳代後半から40歳代前半に差し掛かったこの世代では、絶望の指標ともいわれる抑うつや自殺、薬物やアルコールの乱用が全般的に増えていることが分かった。この結果は「American Journal of Public Health」5月号に発表された。


画像提供HealthDay

ジェネレーションXは、1960年代初頭または半ばから1980年代前半までに生まれた世代を指す。Gaydosh氏らは今回、ジェネレーションXの中でも若い世代に当たる1994~1995年に7~12年生(日本の中学1年生~高校3年生に当たる)だった1974~1983年生まれの男女1万8,446人を対象に、絶望の指標について調べた。

その結果、対象者が30歳代後半に入ると自殺念慮や抑うつ症状、大麻使用、大量飲酒者の割合がいずれも上昇していたことが明らかになった。「30歳代後半に入ったこの世代の大量飲酒者の割合は、同世代でピークだった学生の頃と同程度まで増加しつつある」とGaydosh氏は説明する。

また、これまでの研究では、こうした絶望感は教育レベルの低い白人の間で広がっているとされていた。しかし、今回の調査では、ジェネレーションXで絶望感にさいなまれているのは低学歴の白人だけではないことも示された。白人では青年期の大量飲酒の頻度が高く、ヒスパニック系や黒人では年齢を問わず抑うつ症状の頻度が高いなど、人種や教育レベルによって絶望の指標のパターンに違いはみられたものの、これらの背景にかかわらず、この世代全体に絶望感が広がっていることが分かった。

Gaydosh氏は「実際、この数十年で45~54歳の中年期の男女では死亡率が上昇傾向にある」と指摘する。その上で、「この世代全体に絶望の指標となる抑うつなどが広がっているのは問題だ。人口学的な背景が異なる全ての集団で死亡率を引き上げることになるかもしれない」と話している。

この調査結果を受け、米イェール大学イェール・グリフィン予防研究センター長を務めるDavid Katz氏は「中年期に差し掛かっている成人の間に絶望感や危険行動が広がっているとする報告は、実に憂慮すべきものだ。絶望感は健康上の全ての側面に悪影響を与える」と指摘する。

Gaydosh氏は、この世代に絶望感が蔓延している要因をいくつか挙げているが、その一つとして「単純にこの世代の人たちが、家庭や職場などで特に厳しい状況に置かれることが多い年齢に差し掛かっているからではないか」との見方を示している。また、中流階級の衰退や伝統的な家族構造、社会的結束の喪失といった米国社会の全般的な変化が、この世代の状況に反映されている可能性もあるという。

一方、Katz氏は社会的な変化が最大の要因ではないかとみている。同氏は、「分断された政治、人種差別や排外主義の台頭、気候変動による脅威などが、われわれの将来への希望に影を落としている」と話す。ただ、同氏によれば、アルコール中毒の治療プログラムといった個別の症状に対処するだけでは問題の解決には不十分である可能性が高く、根本的な構造上の原因に対処する必要があるとしている。(HealthDay News 2019年4月22日)

▼外部リンク
Many ‘Gen Xers’ Desolate as They Navigate Adulthood: Study
(参考情報)Abstract/Full Text

HealthDay
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