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女性は胎児期の男性ホルモン曝露で結婚などが不利になる?

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2019年03月29日 AM10:00

胎内の男性ホルモン曝露による女性への影響は?

双子の兄弟がいる女性は、同性の双子がいる女性に比べて、胎内で男性ホルモンの一種であるテストステロンに曝露したことにより学歴や所得、結婚、出産に不利益を被っている可能性があることが、ノルウェーで実施された研究から示された。この研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」3月18日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

この研究では、ノルウェーで1967~1978年に生まれた1万3,717組の双子のデータを分析した。その結果、双子の兄弟がいる女性では、双子の姉妹がいる女性に比べ、高校を卒業する確率は15.2%低く、大学を卒業する確率は3.9%低いことが分かった。また、双子の兄弟がいる女性の方が結婚している確率は11.7%低かったほか、妊孕性は5.8%低く、所得は8.6%低いことも明らかになった。

研究を実施した米ノースウェスタン大学政策研究所(IPR)のKrzysztof Karbownik氏は「胎内で異性の双子に曝露することが、女性の学歴や所得、出生率など重要な転帰に影響することを、出生時から成人期まで30年以上にわたり追跡して明らかにした研究は、今回が初めてである」と述べている。

胎児の発達段階では、卵巣や精巣から産生されるテストステロンなどのステロイドホルモンが男女差を確立するのに重要な役割を担っている。これまでも複数の小規模な研究で、異性のホルモンに曝露すると行動やその他の特性に持続的な影響を及ぼす可能性が示唆されていた。今回の研究結果も「男女の双子では、女性は子宮内でより多くのテストステロンに曝されることで、それが後の行動に影響を与える」とする仮説を裏付けるものだという。

しかし、異性の双子と一緒に育つことが、その後の行動に影響した可能性も考えられる。このことを検証するために、Karbownik氏らは、生後間もなくして双子の男児が死亡し(生後1年以内が583人、生後28日以内が239人)、一人っ子として育った女児だけを対象に再度分析したが、結果は変わらなかった。このことは、長期的な影響が社会環境ではなく、子宮内の環境によるものである可能性を示唆しているという。

著者の一人で同大学教育・社会政策学部長のDavid Figlio氏は「この研究結果は、子宮内でテストステロンに曝露した女性が、必ずしも男性的であることを示しているわけではない。しかし、胎児期にテストステロンに受動的に曝露することが、成長後の学校教育や仕事、出産に影響するという考えには一致している」と説明している。

同じく論文の共著者で同大学人類学教授のChristopher Kuzawa氏は「この研究結果は、ある特定の時期のノルウェー人社会に特異的なものであり、他の社会や文化的背景には当てはまらない可能性がある」と述べている。さらに、「例えば、社会における性別の規範が変われば、幅広い行動が受け入れられるようになり、学歴や結婚などへの影響は最小限に抑えられる可能性もある」と同氏は付け加えている。(HealthDay News 2019年3月18日)

▼外部リンク
Could Male Twin’s Fetal Testosterone Bring Lasting Harm to His Sister?

HealthDay
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