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脳卒中の生還率、適正体重より肥満の方が50%以上高く

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2019年03月15日 AM10:00

肥満の方が脳卒中からの生還率が高い?

過体重や肥満であると脳卒中になりやすいことは既に知られている。しかし、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のZuolu Liu氏らが実施した研究から、適正体重の人に比べて、肥満の人は脳卒中から生還する確率が高い可能性が示された。ただし、脳卒中予防における肥満パラドックスが証明されたわけではなく、同氏は「脳卒中を予防するには適正体重を維持し、肥満にならないことが肝要だ」と強調している。研究の詳細は、米国神経学会(AAN 2019、5月4~10日、米フィラデルフィア)で発表される予定だ。


画像提供HealthDay

米疾病対策センター(CDC)によると、米国では毎年、約79万5,000人が脳卒中を発症し、約14万人が死亡に至るという。脳卒中のほとんどは、血栓が脳血流を妨げる脳梗塞だが、一部には脳内出血による脳卒中もみられる。

Liu氏らは今回、脳梗塞を発症した患者1,033人(平均年齢71歳)を対象に、BMIにより「低体重」「適正体重」「過体重」「」「重度の肥満」の5つのカテゴリーに層別化して、生存率と発症後3カ月時点の障害レベルを比較検討した。なお、BMIが25~29の場合を「過体重」、BMIが29を超える場合を「」と定義した(日本国内の定義ではBMI 25以上が肥満とされる)。なお、対象患者の平均BMIは27.5であった。

その結果、脳卒中後に死亡する確率は、適正体重の脳卒中患者群に比べ、重度の肥満患者群では62%低く、肥満の患者群では46%、過体重の患者群では15%それぞれ低いことが分かった。一方、低体重の患者群では、適正体重の患者群に比べて脳卒中後に死亡する確率が67%高いことも明らかになった。なお、これらの結果は、高血圧や高コレステロール、喫煙習慣などの因子について調整した後のものであった。

Liu氏によれば、これまでの研究では、心疾患患者と腎臓病患者において、肥満が保護的に働く「肥満パラドックス」が示されている。同氏は「脳卒中患者では、脳卒中からの厳しい回復期を乗り越えるのに、過剰な脂肪が予備的な栄養として役立っているのではないか」と説明している。

一方で、脳卒中後の障害については、生存率における肥満パラドックスとは相反する結果が得られ、「重度の肥満患者では、他の群よりも障害が残る確率が高かった」とLiu氏は述べている。

この研究には参加していない米クリスティアナ・ケア・ヘルスシステムで脳卒中プログラムの責任者を務めるJonathan Raser-Schramm氏は「過去の多くの研究では、肥満は脳卒中や死亡リスクの増大と関連することが示されており、健康的な食生活と運動習慣が脳卒中予防に有効であることに変わりない。そのため、健康的な生活習慣を通した脳卒中予防を優先すべきであり、その重要性を曖昧にするような肥満パラドックスには注目すべきではない」と述べている。

なお、学会発表された研究結果は、査読のある専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2019年3月6日)

▼外部リンク
Heavier People May Be More Likely to Survive a Stroke

HealthDay
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