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農薬DDTによる乳がん発症リスク、初回曝露時期が発症年齢に影響か

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2019年02月28日 AM10:00

DDT曝露時期が乳がんの発症年齢に影響か

高濃度の農薬DDTに曝露した女性は、閉経前後に乳がんを発症するリスクが高まると考えられている。しかし、乳がんの発症年齢は、DDTの初回曝露時期に影響される可能性があることが、米公衆衛生研究所のBarbara Cohn氏らの研究で明らかになった。乳幼児期に初めてDDTに曝露した女性は閉経前の乳がんリスクが高かった一方、思春期に初めて曝露した女性では、閉経後早期の乳がんリスクが高かったという。研究の詳細は「Journal of the National Cancer Institute」2月13日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

今回の研究は、小児の健康と発達に関する調査(Child Health and Development Studies)に参加したカリフォルニア州在住の女性約1万5,500人を対象としたもの。1959~1967年の間に採取した保存血液サンプルからDDT曝露量を判定し、54歳までに発症した乳がん患者に関するデータを分析した。

 その結果、高濃度のDDTに曝露した女性は全て、閉経後早期(50~54歳)の乳がんリスクが上昇することが分かった。特に、乳幼児期に高濃度のDDTに曝露した女性は、50歳未満の閉経前に乳がんを発症するリスクが高かった。また、乳幼児期以降にDDTに曝露した女性は、50~54歳の閉経後早期の乳がんリスクが高いことも明らかになった。

このほか、得られた結果は以下のとおり。

・小児期および思春期(3~13歳)にDDTに曝露すると、閉経前および閉経後のいずれでも乳がんリスクが上昇した。

・乳児期以降に初めてDDTに曝露した女性では、曝露量が2倍になると、閉経後早期の乳がんリスクはほぼ3倍になった。

・胎児期および乳児期に初めてDDTに曝露した女性は、閉経前の乳がんリスクが高かった。しかし、14歳以降に初めて曝露した女性には、その傾向はみられなかった。特に3歳になる前に初めてDDTに曝露した女性において、閉経前の乳がんリスクは最も高かった。

・14歳以降に初めてDDTに曝露した女性では、閉経後早期に乳がんリスクが上昇するが、50歳以前の閉経前にはリスクの上昇はみられなかった。

Cohn氏は「女性の乳がんリスクに関しては、DDTに曝露する時期が非常に重要であることが分かった」と話す。同氏は「乳房組織が急速に変化する思春期などに農薬などの有害物質に曝されると、乳房の発達に影響し、その後のがんの発症につながるのではないか」との見方を示している。

Cohn氏らの研究から、DDTが内分泌撹乱物質として乳がんに影響を及ぼすこと、また、最初の曝露からがん発症までの期間はおよそ40年であること、さらに、他の内分泌撹乱物質も同様なリスクを伴う可能性が示唆された。

米国では、DDTは1972年に禁止されるまで、主に農業で広く使用されてきた。当時、多くの女性がDDTに曝露していたが、Cohn氏は「最も若い世代だった女性は、乳がんリスクが高まる年齢に達してきている」と指摘する。同氏は、今回の結果を踏まえた上で、「女性がDDTに最初に曝露した時期を明らかにすることは、乳がんの早期発見や早期治療に役立つ可能性がある」と付け加えている。(HealthDay News 2019年2月14日)

▼外部リンク
Breast Cancer and DDT: Timing of Exposure May Matter

HealthDay
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