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北里大とデンカ、ノロウイルスワクチンシーズのライセンス契約締結-AMED

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2019年01月15日 PM02:30

新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業で開発

)は1月10日、「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」で開発されたノロウイルスワクチンシーズについてのライセンス契約が、研究代表者である北里生命科学研究所ウイルス感染制御学I・北里大学感染制御科学府ワクチン学研究室の片山和彦教授とデンカ株式会社の間で、2018年10月1日付けで交わされたことを発表した。


画像はリリースより

毎年冬になると流行するノロウイルス感染症や、ノロウイルスによる食中毒は、国民の生活と経済活動に影響を与え続けている。実用化されたノロウイルスワクチンは今のところないため、ワクチンの開発に期待が寄せられている。

ワクチン開発が困難である大きな理由は、遺伝子タイプの違うウイルスが多く存在するためである。具体的には、ノロウイルスには5つの遺伝子グループがあり、ヒトに感染するのはグループ1、2、4の3つ。グループ1には9種類、グループ2には、19種類、グループ4には1種類と多数の遺伝子型があり、互いに抗原性が異なる。さらに、ノロウイルスを増殖できる培養細胞がないことや、感染モデル動物がないことも、開発を難しくする原因となっている。

ワクチン開発と抗原検出キットの性能向上へ

片山教授らの研究班は、ノロウイルスと同じ形状・抗原性(免疫を誘導する力)を持ち、遺伝子を持たない中空のウイルス粒子(ウイルス様中空粒子;)を量産することに成功し、2016年時点で検出されたほぼ全ての遺伝子型に対応するVLPを作り出した。VLPは、遺伝子を持たないため感染して増殖する力はないが、形状と抗原性が保たれているため、接種した人体や動物に効率良く免疫を誘導できる。

また、VLPを用いたノロウイルスワクチンの開発、品質管理には、ワクチンを定量するために、VLPを特異的に検出可能なモノクローナル抗体が必要となる。そこで研究班は、VLPをマウスに免疫して、各種遺伝子型のVLPに特異的に反応するモノクローナル抗体の作製を試み、それにも成功した。これらの成果により、「ノロウイルスVLPを特異的に認識するモノクローナル抗体を作出するハイブリドーマ」と「ノロウイルスVLPを作出可能な組換えバキュロシードウイルス」から構成される“ノロウイルスワクチンシーズ”が完成した。

現在、デンカにより同シーズを利用した近年の主要流行遺伝子型に対するノロウイルスワクチンの開発が進められている。今後、デンカはこのシーズを独占的に利用し、植物で大量に合成したVLPをベースとしたノロウイルスワクチンの開発と、ノロウイルス抗原検出キットの性能向上に向けて検討を進めていく方針。

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