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一部の前立腺がんでは待機療法よりも前立腺全摘除術の方が有効な可能性

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2018年12月27日 AM10:00

早期前立腺がんには待機療法よりも外科手術?

早期の限局性前立腺がん患者の一部は、無治療で経過観察する待機療法(watchful waiting)よりも前立腺全摘除術の方が、余命の延長に有効な可能性があることが、(スウェーデン)のAnna Bill-Axelson氏らの検討で分かった。約700人の早期前立腺がん患者を対象としたランダム化比較試験の結果、待機療法を受けた群よりも前立腺全摘除術を受けた群の方が生存期間は平均で2.9年長かったという。詳細は「New England Journal of Medicine」12月13日号に掲載された。


画像提供HealthDay

今回の研究は、75歳未満で、10年以上の余命が見込まれる健康状態が良好な限局性の前立腺がんと診断された欧州の男性患者695人を対象とした。1989~1999年に、前立腺全摘除術を実施する群または待機療法を行う群にランダムに割り付けて2017年まで追跡した。

その結果、全死亡率は待機療法群では84%だったのに対し、前立腺全摘除術群では72%であった。また、前立腺がんによる死亡率は、待機療法群の31%に対し前立腺全摘除術では20%であり、生存期間は前立腺全摘除術群が平均2.9年長いことが分かった。

ただし、今回対象とした男性患者は20~30年前に前立腺がんの治療を受けた人がほとんどで、診断されて間もない人に比べて腫瘍サイズも大きく、悪性度も高かった。そのため、Bill-Axelson氏らは「今回対象とした前立腺がん患者の多くは、自覚症状が現れた後に臨床的に診断されたか、他の目的で行った直腸診で発見されたケースが多かった。つまり、対象患者の腫瘍は進行したものだった」と指摘している。その上で、「この結果を現在、前立腺がんと診断された全ての患者に当てはめるのは難しい」と強調している。

専門家の一人で、(ACS)のLen Lichtenfeld氏も「今回の研究は重要かつ有益だが、この結果を根拠に現行の前立腺がん治療を変えるほどではない」と述べている。

Lichtenfeld氏によれば、現在の前立腺がん治療は、この研究が開始された当時とは大きく様変わりしているという。米国では血液検査によるPSA(前立腺特異抗原)検査が普及し、前立腺がん症例のほとんどはPSA値によって診断されるようになった。

PSA検査ではごく小さな腫瘍も検出されるが、前立腺がんは進行が遅いため、診断後すぐに治療を始める必要がないケースも多い。また、前立腺を切除すると失禁や勃起不全などの原因になることから、多くは待機療法が適応される。Lichtenfeld氏は「今回の結果を“前立腺を切除した方が余命は延びる”とは解釈しないでほしい」と強調している。

また、自覚症状が現れた段階で前立腺がんと診断された場合でも、必ずしもすぐに手術が最善の選択肢になるとは限らない。Lichtenfeld氏は「前立腺がんの治療選択は、腫瘍のサイズや侵襲性の高さ、患者の年齢や全身状態を考慮して総合的に決定するものだ」と説明している。同氏はまた、「健康状態の悪い高齢男性は、手術によるベネフィットはほとんどないと考えられる」と付け加えている。(HealthDay News 2018年12月12日)

▼外部リンク
Surgery May Benefit Some With Early Prostate Cancer: Study

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