医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > 【米国】平均寿命が3年連続で短縮

【米国】平均寿命が3年連続で短縮

読了時間:約 2分17秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年12月12日 AM10:00

米国人の平均寿命がさらに短縮

米国人の平均寿命が2015年以降、3年連続で短縮していることが、米疾病対策センター()の分析から明らかになった。薬物の過剰摂取による死亡者の増加と自殺率の上昇がその主な要因であるという。報告書をまとめたグループの一人で、CDC傘下の国立衛生統計センター(NCHS)のRenee Gindi氏は「過去数十年間で、複数年にわたって連続で平均寿命の短縮がみられたのは初めてだ」と話している。


画像提供HealthDay

NCHSは9月20日に、2014~2016年の平均寿命(出生時の平均余命)の推計値を年次報告書“Health, United States, 2017”で明らかにしているが、今回、新たに2017年までのデータが公表された。Gindi氏らによれば、平均寿命は、2017年のデータに基づくと78.6歳で、2015年の78.7歳、2014年の78.9歳よりも短かった。また、米国における2017年の死亡者数は280万人で、前年と比べて約7万人増加した。

米国人の平均寿命は2014年から2015年までに0.2年短くなったが、1993年以降で米国人の平均寿命が短縮したのはこの時が初めてだった。しかも、2015年から2016年にかけて平均寿命はさらに0.1年短くなった。

米国では、2017年だけで薬物の過剰摂取による死亡者数が7万人に上っており、オピオイド依存症の蔓延が平均寿命を縮めた主な要因ではないかと研究グループは指摘している。薬物の過剰摂取を原因とした年齢調整死亡率は、2016年には10万人当たり19.8人で、2006年から72%上昇したが、2017年には10万人当たり22人近くまで増え、前年と比べてさらに9.6%上昇した。

 一方、自殺率も驚くほど上昇した。2006年から2017年にかけて自殺による年齢調整死亡率は10万人当たり11人から14人に増加し、23%上昇した。

専門家の一人で米国公衆衛生学会(APHA)のエグゼクティブ・ディレクターを務めるGeorges Benjamin氏によると、特に退役軍人や小児で自殺率の上昇が顕著だった。「根本的な原因は明らかではないが、以前と比べてよりストレスフルな社会になりつつあることは確かだ。また、精神的な問題や外傷性脳損傷を抱える兵役から戻った人たちが、必要とするサービスを十分受けられていないことも影響しているのではないか」と同氏は話している。なお、同氏は「米国人の寿命が短縮する傾向は少なくともあと1年は続くのではないか」とみている。

報告書からは、慢性肝疾患や肝硬変の増加も平均寿命に影響していることが明らかになった。慢性肝疾患による死亡率は、2006年から2016年にかけて25~34歳の男性では年間に平均7.9%、同年齢層の女性では年間に平均11.4%上昇していた。Gindi氏によれば、これには飲酒や肝炎ウイルスの感染などさまざまな要因が考えられるという。報告書ではそのほか、アルツハイマー病や敗血症による死亡率も上昇したことが示された。

Gindi氏は「この数十年間、下水道などの環境整備やワクチンの普及に加えて、近年は心疾患やがんなどの慢性疾患の予防や治療の質が向上したことが功を奏し、平均寿命の延伸につながった。しかし、社会問題ともなっている薬物の過剰摂取や自殺による死亡の増加の影響で平均寿命は昔のレベルに戻りつつある」と話している。(HealthDay News 2018年11月29日)

▼外部リンク
Opioid Crisis, Suicides Driving Decline in U.S. Life Expectancy: CDC

HealthDay
Copyright (C) 2018 HealthDay. All rights reserved.
※掲載記事の無断転用を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • 話題の「糖質制限」には、どんなリスクがあるのか?
  • 心臓病患者がスリリングな行為で死に至ることはあるのか?
  • 脳卒中の生還率、適正体重より肥満の方が50%以上高く
  • 若年者の大腸がん、痔核やIBSとの誤診多く
  • 夜に運動しても睡眠への悪影響はナシ