医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 肥満を抑制する新たな遺伝子「Ly75」を同定-名大

肥満を抑制する新たな遺伝子「Ly75」を同定-名大

読了時間:約 1分32秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年12月10日 PM12:00

複数のQTLと環境要因が複雑に絡み合って統御される肥満

名古屋大学は12月6日、肥満抵抗性に関わる新たな遺伝子として「」を同定したと発表した。この研究は、同大大学院生命農学研究科の石川明准教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

世界保健機関(WHO)によると、世界のおよそ3人に1人が過体重または肥満であり、この割合は年々上昇していると報告されている。肥満は、複数のQTL(quantitative trait loci)と環境要因が複雑に絡み合って統御されている。これまでに、ヒトやモデル動物において、、体重、白色脂肪組織重量や血中脂質濃度などの肥満に関わる形質を制御する多くのQTLが染色体上に位置づけられてきた。しかし、個々のQTLの肥満形質におよぼす効果は小さいため、QTLの原因遺伝子を同定することは容易なことではない。

研究グループは、これまでに野生マウスの遺伝資源から、白色脂肪組織重量を減少させるQTLを発見。さらに、全ゲノムリシーケンス解析や遺伝子発現解析などにより、免疫系に関わるLy75(lymphocyte antigen 75)遺伝子が、この肥満抑制QTLの最有力候補遺伝子であることを明らかにしていた。

Ly75のmRNA発現量が高くなると白色脂肪組織重量が減少

今回の研究では、Ly75のノックアウトマウスなどを用いた遺伝解析や遺伝子発現解析などにより、肥満抑制QTLの原因遺伝子がLy75であることを世界で初めて明らかにした。また、因果分析により、Ly75の遺伝子型やLy75のmRNA発現量と白色脂肪組織重量の間には、因果関係があることを証明し、遺伝子型の変化により、発現量が高くなると白色脂肪組織重量が減少する、つまり肥満を抑制することを明らかにした。この遺伝子は、免疫応答に関わる機能を担うことがこれまでに報告されていたが、肥満に関する報告は全くなかったという。

今回の研究成果は、肥満に関わるQTLの原因遺伝子を同定した数少ない成功例のひとつであり、肥満生物学に新たな知見をもたらすものとして期待される。今後、Ly75遺伝子の脂質代謝に関わる分子機能を解明することが必要となるが、研究グループは、「ヒトでは、万病の元である肥満を克服するためのゲノム医療への応用に繋がり、家畜では、健康改善と畜産物の生産性の向上のためのゲノム育種への応用に繋がる」と述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • ブロックチェーン技術による臨床データモニタリングシステムの実証、規制のサンドボックス制度認定−サスメド
  • 薬物療法に反応しない双極性障害のうつ状態を対象に、反復経頭蓋磁気刺激療法を先進医療Bで実施-NCNPら
  • 4および6因子から成る「統合失調症」の予測モデルを構築-名大ら
  • 膠原病の難治性CLIに対し「自家骨髄単核球細胞移植」が効果的と判明-京都府医大
  • PD-1が、有益な免疫応答を抑制しない仕組みを明らかに-徳島大