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微細なハンコで神経回路網を操作する技術を確立−東北大ら

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2018年11月19日 PM12:00

神経細胞がシャーレ内で作る回路網の形状を制御

東北大学は11月14日、ミクロなハンコを使って、神経細胞がシャーレ内で作る回路網の形状を制御する技術を確立し、生体に近い発火パターンで活動する神経回路網を作製することに成功したと発表した。この研究は、同大材料科学高等研究所の平野愛弓教授と山本英明助教、同電気通信研究所の佐藤茂雄教授、バルセロナ大学物理学部のJordi Soriano准教授、東北福祉大学感性福祉研究所の庭野道夫特任教授、早稲田大学理工学術院の谷井孝至教授、山形大学工学部の久保田繁准教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Science Advances」に掲載されている。


画像はリリースより

脳では、複数の細胞集団が同時に活動する状態と、細胞集団が個別に活動する状態がバランスを保っていることが情報処理の実現において重要だと考えられている。しかし、性質の異なる2つの活動状態がどのようにして1つの回路に共存できるのか、そのメカニズムは明らかにされていなかった。

研究グループは今回、生きた細胞が作る神経回路網の形状を操作する技術を応用し、この2つの活動状態が共存した複雑な発火パターンを発現する神経回路の作製に成功した。この回路を調べることで、生物の脳で普遍的に見られる「モジュール構造」を有する神経回路は、空間的には分離されているが、機能的には統合化しやすい傾向があることを明らかにし、空間的な分離性と機能的な統合性が均衡することによって複雑な発火パターンが生まれる、という新たな仮説を提案した。

創薬支援の医工学デバイスとしての活用に期待

神経回路網の操作に用いたのは、マイクロコンタクトプリンティングという手法。この方法では、日常生活で使うハンコの100分の1程度の大きさの凹凸を持つシリコーン樹脂を使用し、細胞が成長する際の足場となるタンパク質をスライドガラスの上に転写する。今回の研究で扱ったのは、おおよそ100個の神経細胞が4つの均等なモジュールに分かれて存在する神経回路網。これは、大きさも複雑さも生物の脳にはほど遠い、極めて単純な回路にも関わらず、モジュール間を結ぶ神経繊維の数を制御することによって、全体が同時に発火する回路網やモジュールが個別に発火する回路網、両方の発火状態が混在する回路網など、多様な神経回路網を人工的に作り上げられることがわかった。

現代社会では、ディープラーニングなどの人工知能()技術に代表されるような、脳の作動原理を模倣して開発されたテクノロジーが日々の暮らしを支えるようになりつつある。また医学的には、神経回路網における活動状態の異常は、多くの脳疾患とも密接に関連している。今回の研究で開発した細胞操作技術は今後、脳の作動原理の理解を進めるためのモデル系や創薬を支援する医工学デバイスなどとしての活用されることが期待される、と研究グループは述べている。

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