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トルリシティ、心血管疾患既往者が少数の試験でMACE発現率を有意に減少-米リリー

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2018年11月14日 PM12:45

心血管疾患の既往のある糖尿病患者が31%のREWIND試験

米イーライリリー・アンド・カンパニーは11月5日、「トルリシティ(R)」(一般名:デュラグルチド)のREWIND試験において、幅広い2型糖尿病患者で心血管イベントを有意に減少したと発表した。

REWIND試験は、2型糖尿病の成人患者を対象とした心血管イベントの発現率について、標準治療に追加したグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であるデュラグルチド1.5mg週1回投与をプラセボと比較した多施設共同無作為化二重盲検比較試験。主要評価項目はMACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合評価項目)の初発とした。副次評価項目は、主要評価項目を構成する各要素、網膜または腎疾患からなる複合臨床微小血管障害、不安定狭心症による入院、心不全による入院または緊急来院、および原因を問わない死亡とした。

参加者は24か国(日本は不参加)から9,901名、糖尿病の罹病期間の平均値は10年、ベースラインのHbA1c平均値は7.3%。参加者の31%にベースライン時点で心血管疾患の既往があった。同試験は多国間共同で行われ、女性の割合と心血管疾患既往を有しない人の割合が高く、ベースラインの平均HbA1c値が比較的低い人が登録されたことから、その結果は世界中の一般診療で見られる典型的2型糖尿病患者に直接関連すると示唆されている。

幅広い2型糖尿病患者で心血管に対する影響を評価

試験の結果、プラセボと比較してMACEの発現率が有意に減少し、主要有効性評価項目を達成。この結果から、デュラグルチドは心血管疾患の既往歴がない患者が69%含まれる前例のない臨床試験において、主要心血管イベントの減少を示した初めての2型糖尿病薬となったという。

REWIND試験と他の心血管アウトカム試験との大きな違いは、心血管疾患の既往を有する参加者が少数であり、幅広い2型糖尿病患者において同剤の心血管に対する影響を評価できたことにある。また重要な点として、REWIND試験の追跡期間中央値は5年以上であり、GLP-1受容体作動薬の心血管アウトカム試験としては最長の追跡期間である点が挙げられる。同試験に参加した9,901名のベースライン平均HbA1c値は比較的低い7.3%であり、ベースライン時点で心血管疾患の既往歴を有する人は31%のみだった。対して他の心血管アウトカム試験は、HbA1cのベースライン値がより高い患者や、心血管疾患の既往歴を有する冠者の割合が多い試験だったとしている。

なお、REWIND試験における同剤の安全性プロファイルは、他のGLP-1受容体作動薬と概ね一致。リリーはこれらのデータを来年、規制当局に提出し、試験の詳細な結果を2019年の「米国糖尿病学会学術集会」にて公開予定だとしている。

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