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ACE阻害薬を10年以上服用すると肺がんリスクが3割上昇?

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2018年11月07日 AM10:00

ACE阻害薬の服用が肺がんリスク上昇と関連か

ACE阻害薬は一般に広く用いられている降圧薬だが、長期間服用すると肺がんの罹患リスクが上昇する可能性があることが、マギル大学(カナダ)腫瘍疫学准教授のLaurent Azoulay氏らによる新たな研究で示された。しかし、同氏らは、研究ではこれらの関連が示されたに過ぎず、肺がん罹患リスクの上昇幅もわずかであったことから、「医師が必要と判断した場合にはACE阻害薬の服用を中止すべきではない」と強調している。詳細は「BMJ」10月24日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

今回の研究では、英国のプライマリケアの診療情報を集積したClinical Practice Research Datalinkのデータベースを用い、1995~2015年に新たに降圧薬の服用を開始した99万2,061人の高血圧患者のデータを分析した。対象患者は18歳以上でがんの既往がない者とした。

平均で6.4年間追跡した結果、対象患者のうち7,952人が肺がんに罹患していた。ACE阻害薬を服用した患者では、ARBを服用した患者に比べて肺がんリスクが高く、年齢や性、体重、喫煙や飲酒の習慣、肺疾患の既往歴などの因子を考慮して解析しても、ACE阻害薬を服用すると肺がんリスクが14%高いことが分かった。また、ACE阻害薬の服用と肺がんリスクの上昇との関連は、服用を開始してから5年後以降に認められ、服用期間が10年以上になると肺がんリスクは31%上昇した。

これらの結果を踏まえ、Azoulay氏は「ACE阻害薬は優れた降圧効果をもたらすが、肺がんに関連する体内の化学物質を増大させる可能性がある」と説明する。同氏によれば、ブラジキニンやサブスタンスPと呼ばれる物質は肺がん組織中にみられ、中でもブラジキニンは肺がんの細胞増殖を促進すると考えられているという。

論文の付随論評を執筆したオーフス大学(デンマーク)臨床疫学部のDeirdre Cronin Fenton氏は「患者一人一人に対してACE阻害薬の使用を評価する際には、生存へのベネフィットと肺がんリスクのバランスを考慮する必要がある」と述べている。

また、専門家の一人で米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)循環器科教授のGregg Fonarow氏は「ACE阻害薬の有益性は肺がんリスクを大きく上回るため、服用している患者は心配する必要はない」と話す。同氏は、ACE阻害薬はこれまで多様な患者集団で多くのランダム化比較試験が実施され、ベネフィットがリスクを上回ることは明らかであり、「ACE阻害薬の服用により、がん全体や肺がんのリスク上昇を示すエビデンスはなく、これらをもたらすことなく死亡率の低減につながることが報告されている」と同氏は説明している。(HealthDay News 2018年10月24日)

▼外部リンク
Lung Cancer Risk Tied to Common Blood Pressure Drug

HealthDay
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