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ダ・ヴィンチの創造力は斜視によるもの?

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2018年10月30日 AM10:00

レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作は斜視のおかげ?

「モナ・リザ」や「最後の晩餐」などの世界的な芸術作品で知られるレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)には未治療の斜視に起因した間欠性の弱視があり、それがこのルネッサンス時代の天才芸術家に傑作を生み出す力をもたらした可能性があることが、英国のグループの研究で示唆された。この研究結果は「JAMA Ophthalmology」10月18日オンライン版に発表された。


画像提供HealthDay

この研究は、英ロンドン大学のChristopher Tyler氏らが実施したもの。同氏らがダ・ヴィンチの作品とされる絵画や彫刻を分析した結果、ダ・ヴィンチには斜視による間欠性の弱視が示唆されたという。しかし、この障害は眼に見えるそのままのイメージを平面に描写する彼の能力を奪うのではなく、逆に彼の創造力を開花させた可能性があると、同氏らは説明している。

その理由として、弱視のためにダ・ヴィンチは時々、片眼の視力に頼らざるを得ず、正常な眼を持つ人が両眼で見た場合の三次元の世界ではなく、二次元の世界を見ていたと考えられるからだという。このことが、平坦なキャンバスに絵の具を塗り重ね、二次元で描写する能力を高めたと考えられた。そして彼の弱視は皮肉なことに、何重にも塗り重ねられ、繊細さに溢れた傑作の数々を生み出すことになった。

Tyler氏は「彼の両眼は正しい位置に保たれている時には立体視力は良好で、疲れた時や眼を休めている時にだけ眼の位置にずれが生じるため、障害の程度は小さいと考えられた」と説明する。また、同氏はダ・ヴィンチ自身も自分の眼の状態を知っており、片眼での視界が必要な時に自らこの作用を利用していた可能性があると指摘する。また、片眼で見た時には奥行きを視覚で捉える力は低下するが、それによって奥行きを複雑に積み重なる姿として捉えるダ・ヴィンチの力が高まったのではとの見方を示している。

さらに、Tyler氏は「彼の作品で最もよく知られている特徴の一つに、わずかな奥行きを表現するために最大で30層もの陰影を付ける三次元モデリングが挙げられる。これには三次元の視界では気付かないが、片眼を閉じると気付きやすくなる」と付け加えている。

米国小児眼科・斜視学会議(AAPOS)によると、ダ・ヴィンチの眼の症状は眼の動きを調節する脳機能を低下させる神経筋異常を主な原因とする眼位異常によるものと考えられるという。健康な小児でもこのような眼の異常は珍しくないが、小児や成人の外傷や脳性麻痺、、脳卒中などの合併症として発症することもある。米国では斜視の有病率は約4%と推定されており、その主な種類として内斜視(通称crossed eyes)や外斜視(同lazy eye)、上斜視がある。

Tyler氏らによると、レンブラントやピカソ、ドガ、デューラーなどの斜視があった芸術家は少なくない。今回、同氏らがダ・ヴィンチの作品とされる彫刻や油絵、デッサン計6点を対象に瞳孔の位置を調べたところ、ダ・ヴィンチにも左眼に間欠性の外斜視があったと判断されたという。

この報告を受け、米コロンビア大学小児眼科のSteven Brooks氏は「ダ・ヴィンチが苦しんだ眼の障害はかなり重大な問題だったのではないか。現代であれば、眼科医はできるだけ早く矯正しようとしただろう」と話している。また、同氏は「たとえ間欠性のものでも、斜視が視覚的なメリットをもたらしうるとは認識していない」と話し、この障害がダ・ヴィンチの視覚に良い影響を与えたとは考えにくいとしている。その上で、同氏は「ダ・ヴィンチは単純に、際立って才能に溢れた芸術家であったというだけだろう」と推測している。(HealthDay News 2018年10月18日)

▼外部リンク
Did Leonardo da Vinci’s Genius Stem From a ‘Lazy Eye’?

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