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胃生検材料を用いた偽陰性率の低いAI病理診断支援ソフトウェアを開発-オリンパスら

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2018年09月05日 PM12:45

病理診断の需要が高まる一方、病理医は不足

オリンパス株式会社は9月3日、独自開発したディープラーニング技術を用いて、国立病院機構呉医療センター・中国がんセンターの臨床研究部病理診断科と、「胃生検材料を用いたAI病理診断支援ソフトウェア」の共同研究を行ったと発表した。成果は「第17回日本デジタルパソロジー研究会総会」で、広島大学大学院医歯薬保健学研究科分子病理学研究室の谷山大樹医師によって発表されている。


画像はリリースより

近年、病理医不足と言われる一方で、病理診断件数は増加している。病理学会によると、「がんの治療方針(治療薬)を決定するために、多数切片の鏡検やコンパニオン病理診断の導入など、特に悪性腫瘍手術検体で診断病理医の負担が大きくなっている」という。実際に、病理診断件数は2005年から2015年にかけて214万3,452件から476万2,188件と約2.2倍に増加、がんの治療方針(治療薬)を決定するための免疫染色件数も、15万1,248件から42万6,276件と約2.8倍に急増している。

このような背景のもと、オリンパスはAIを用いた診断支援ソリューションを確立することで、病理医の負担を軽減させ、さらなる診断の質向上に貢献できると考え、AI病理診断支援ソフトウェアの共同研究を進めてきていた。

2ステップのテストで感度100%、特異度50.7%に

オリンパスは、2015~2018年の間に呉医療センター・中国がんセンターで診断された胃生検標本を用いて、病理画像による診断支援のためのディープラーニング技術を開発。ディープラーニング技術には、病理画像の特徴解析に適した独自のコンボリューショナルネットワーク(CNN)を用いている。この技術により、画像の腺がん組織領域を識別し、さらにその結果に基づいて腺がん画像と非腺がん画像の分類を行った。

テスト1では、786件(297件、非腺がん489件)の症例を検討し、腺がんはすべて陽性(感度100%)と判定するようにソフトウェアの基準値を設定。この基準値設定では、非腺がん489件中225件が陰性と判定された。テスト2では、テスト1で設定した基準値において、新たに140件(67件、非腺がん73件)の症例を検討。その結果、67件はすべて陽性と判定され、非腺がん73件中37件が陰性と判定されたという(感度100%(67件/67件)、特異度50.7%(37件/73件))。

偽陰性率が低く、陽性症例を確実に検出できるAI病理診断支援ソフトウェアを用いることで、陽性症例の見落とし防止や、陰性症例のスクリーニング効果が見込まれ、病理医の負担軽減とさらなる診断精度の向上が期待される。今後について、同社は「今回独自開発したディープラーニング技術をもとにして、今後もAI病理診断支援ソリューションの提供に向けた開発に取り組む」としている。

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