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パーキンソン病患者は網膜が薄くなる

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2018年08月30日 AM10:00

眼の検査でパーキンソン病の早期発見が可能に?

発症後早期のパーキンソン病患者では、眼の奥にあり光を感じる網膜の厚さが薄くなっていることが、ソウル国立大学ポラメ医療センター(韓国)のJee-Young Lee氏らによる研究から明らかになった。この研究では、網膜の厚さが薄くなるほどパーキンソン病の重症度が高いことなども分かった。Lee氏らは将来、眼の画像検査により運動症状が現れる前の段階でパーキンソン病を発見できるようになるかもしれないとしている。この研究結果は「Neurology」8月15日オンライン版に発表された。


画像提供HealthDay

パーキンソン病の原因はいまだ完全には解明されていないが、パーキンソン病患者では、脳内の黒質と呼ばれる部分にあるドーパミンを産生する神経細胞が失われることが分かっている。主な症状は、手足のふるえ(振戦)や筋肉のこわばり(固縮)、動きの鈍さ(無動)、身体のバランスが保てない(姿勢反射障害)、歩行障害などだが、眼の問題についてはあまり知られていなかった。

しかし、専門家の一人で米ノースウェル・ヘルス運動障害プログラムのAlessandro Di Rocco氏によると、多くのパーキンソン病患者では色の識別能力が低下し、視界がぼやける、文字が読みにくいといった症状がみられるという。同氏は「こうした症状は発症後早期では軽微だが、進行に伴ってはっきりと現れるようになる」と説明する。また、2017年には、こうした視覚の変化はパーキンソン病の早期の徴候だとする研究論文が「Radiology」に発表されており、運動障害が出現する10年以上も前に視覚の変化が先行して現れることが明らかにされている。

Lee氏らは今回、約2年前にパーキンソン病と診断されたが薬物治療は開始していない患者49人(平均年齢69歳)と、年齢を一致させた健康な成人54人(対照群)を対象に、)による画像検査で網膜の厚さや容積を測定する研究を行った。パーキンソン病患者49人中28人にはMRIなどによる脳画像検査を実施し、黒質のドーパミン産生細胞の濃度を測定した。

その結果、対照群と比べてパーキンソン病患者群では網膜の厚さが薄くなっていることが分かった。特に菲薄化が進んでいたのは10層から成る網膜のうち内側の2層だった。例えば、最も内側の層の特定の部分の厚さの平均値は、対照群の37μmに対してパーキンソン病患者群では35μmだった。

また、網膜の厚みが減ることは、黒質のドーパミン産生細胞の脱落と関連していた。さらに、網膜が薄くなるほどパーキンソン病の重症度は高まることも分かった。

この報告を受け、Di Rocco氏は「パーキンソン病の進行は、臨床症状に基づいて予測するしかないのが現状だ。しかし、将来的には眼の検査により、症状が現れる前にパーキンソン病の進行や合併症を予測できるようになるかもしれない」と期待を示している。ただし、Di RoccoとLeeの両氏は、この研究結果は今後、より大規模な研究で検証する必要があり、「網膜の菲薄化とドーパミンを産生する神経細胞の脱落が関連する要因についても調べる必要がある」と指摘している。(HealthDay News 2018年8月16日)

▼外部リンク
Thinning Retina Seen as Early Warning Sign for Parkinson’s

HealthDay
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