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育児中の母親の孤独感、SNS利用と関連-京大

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2018年08月28日 PM01:00

により変化した育児中の母親の環境

京都大学は8月24日、育児中の母親の孤独感には、SNSでのつながりや、家族、友人との社会的つながり、経済的状況、対人関係のパターン、気分不安障害の可能性の有無が関連していることがわかったと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野の萬代真理恵専門職学位課程学生(現・京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター教務補佐員)、中山健夫教授、高橋由光准教授、家曽美里博士課程学生らの研究グループによるもの。研究成果は「BMC Women’s Health」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

“ワンオペ育児”に象徴されるように、日本では、孤独な育児が社会問題となっている。育児中の女性の孤独感は、母親自身の抑うつや健康状態の低下を招くのみならず、子どもの健康や虐待などへの影響の恐れもある。

育児中の女性に対する孤独感に関して、社会的要因として「インターネット上のつながり」を検討した研究は、これまでなかった。さらに、育児中の女性が孤独感を感じる状況は、社会的ネットワークの変化によって変わってきていると考えられるが、社会的要因や、個人的要因である「内的作業モデル」と孤独感との関連を検討した研究もなかった。

若い母親の孤独感、全体平均よりも10ポイント近く高く

研究グループは、滋賀県長浜市で、2014年7月28日~9月29日に乳幼児健康診査4か月、10か月、1歳8か月、2歳8か月児健診)を受診するために来訪した母親763名を対象に、無記名自記式質問票を配布。質問項目は、改訂版UCLA孤独感尺度、内的作業モデル尺度の下位尺度「SECURE(安定)尺度」、K6、Lubben Social Network Scale短縮版()、通信機器と情報源の種類など71項目。分析は、孤独感得点を従属変数とし、「経済的ゆとり」、「健康状態」、「内的作業モデル安定型(対人関係のパターン)」、「託児の有無」、LSNS-6の4項目「家族」、「友人」、「ママ友」、「SNS」、「書籍雑誌利用頻度」、「スマートフォン使用時間」、「K6」、を独立変数とする重回帰分析を行った。

回収した調査票638部(回収割合89.2%)のうち、欠測を除く523部(有効回答割合73.1%)を解析対象として分析した結果、対象者の孤独感尺度の平均値と標準偏差は36.1±9.7(得点範囲20~80)だった。重回帰分析の結果、経済的ゆとりの低さ、SNS、家族、友人との社会的つながりの低さ、対人関係のパターンを示す「内的作業モデル安定型」の低さ、気分不安障害の可能性、と孤独感とに有意な関連が見られたという。また、対象者数は少なったが、ティーンエイジャーである若い母親の孤独感は、全体平均よりも10ポイント近く高く、より孤独感を抱えながら育児を行っている可能性があるとしている。

一方、今回の研究は横断研究であるため、SNSを利用した結果孤独感が減少するというような因果関係を示すものではない。また、研究の対象とはならなかった、健診に来られなかった母親が健康や経済上の問題を抱えている場合は、今回の対象者よりも孤独感が高い可能性がある。研究グループは、「今後ほかの集団でも同様の結果が得られるか、さらなる研究が期待される」と述べている。

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